見つけたら買うと決めてあるチーズのリストを財布に入れて持ち歩いている。リストの上位にあったチーズはほぼ見つけて食べたが、最初からリストにありリストの一番上に残り続けたのが「二世古 空[ku:]」という北海道のブルーチーズだった。やっと見つけた!! 期待を裏切らなかった!
こういうとき東京はすごいと思う。大阪市内の出身なのでもともといろんな物が手に入りやすい環境で生まれ育ったが、いろんな物の際限のなさが大阪と東京とでは段違いである。日本中のはもちろんのこと世界中の珍しい物、美味しい物が手に入ってしまうのが東京だと思う。二世古 空[ku:]はふらりと立ち寄ったワインショップの奥にあるチーズ売場に売られていた。店員さんに確認すると定期的にではないが安定して入荷があるそうなので、また欲しくなったら入手できそう。
水色のビニールの包装紙に包まれている。青カビチーズは柔らかくもろいことが多いので、ハサミを使って丁寧に包装を解いていったのだが、それほど心配することはなかった。包装紙の奥にはアルミホイルでもう一重に包まれていた。アルミホイルを外し始めると、ミルクの甘い香りが漏れ始める。生地は青カビチーズにしては硬めで、少し黄味がかった生地には均等に青カビが散らばっていた。きれいだ。手間暇を惜しまずに作られているのが見ただけで分かる気がする。
ニセコチーズ工房の二世古 空[ku:]はフランスのジュラ山脈で作られているブルー・ド・ジェックスをお手本に作られたチーズのようで、黄色味がかった生地、外皮の感じ、青カビの入り方までよく似ている。まず最初に驚くのが生地の持つ穏やかで優しい甘み。いつまでも口の中に留めおきたくなる甘みだ。青カビの刺激はそれほど強くなく。ブルー・ド・ジェックスのような味を期待していると少し肩すかしにあったような気になるが、日本人の好みに合わせたってことだと思う。塩も控えめだ。
青カビによるほんの少しの風味と苦みは生地に濃縮されたミルクの甘みを引き立てるための物と考えるとトッピングにはより甘みを追加するハチミツを添えたくなる。ハチミツをほんの少し付けて口に運んでみると、これが大正解だった。甘めの白ワインなんかとも相性がよさそうな気がする。
著者: へた釣り