未知の国産チーズを見つけたら迷わず買う。国内のチーズコンテストで受賞歴があるならばなおさらだ。ワインショップでチーズ探しをしていると見つけたのが滋賀県の古株牧場で作られている「つやこフロマージュ」という小ぶりなチーズ。JAPAN CHEESE AWARD 2014で金賞を受賞とある。
古株牧場は「ふるかぶ」ではなく、「こかぶ」さん一家が経営している牧場で滋賀県の南部にある。JRAの栗東トレセンの近くだ。同牧場を代表するチーズがつやこフロマージュでJALのファースト暮らすの機内食に採用されたこともあるらしい。つやこフロマージュは古株牧場で採れた牛乳に乳酸菌を加えて酸凝固させて発酵させたチーズ。表皮を自然なカビが覆う。乳酸菌発酵というとヨーグルトと同じ。つやこフロマージュの生地にもヨーグルトのような酸味が残っていた。
買ってきたばかりのころは表面が硬めだったので冷蔵庫の野菜室に放置してしばらく熟成を進める。何度か常温に戻してチーズの状態を確認して、表面に弾力が出てきて、鼻を近付けると牧場のような香りがしてきたので食べ頃と判断した。最初に感じたのはシェーブルチーズのような優しい酸味。生地の具合もシェーブルチーズに似ていて、口の中で蕩けながらパラリと崩れる。その瞬間にミルクの風味がパッと広がり、芳醇な香りが鼻へと抜ける。味と香りの余韻までたっぷり残してくれるのだからつやこという名の通りなんとも艶めかしい。
熟成が若いうちは酸味を楽しむためにカットしてサラダと混ぜ合せて食べるとよさそう。熟成が進んでからは辛口の白ワインなんかと合わせると美味しく味わえるように思う。パッと見は白カビチーズのように見えるが、表皮にはほとんど味も香りもない。酸凝固ということもあり、白カビチーズとは全く異なる味わいのチーズになっている。
著者: へた釣り