多くのチーズは1年中手に入るがそれでも旬はある。春から夏に放牧された牛や羊、山羊から搾った乳で作られてたチーズが熟成期間を経て手に入るのが秋だ。夏は熟成期間が短いフレッシュなチーズが旬だった。秋からは熟成が進み濃厚で芳醇な味わいのチーズが旬を迎え始める。
チーズ道楽を始めてちょうど1年になろうとしている。カマンベールやモッツァレラなど誰もが知っているようなチーズくらいしか知らなかったところから始めて、1年で結構な種類のチーズを食べることができた。毎週チーズを買いに行くフェルミエ渋谷店では「マニアックなのが入っているのは……」なんて風にチーズセット選びを手伝ってもらえたり、オススメの食べ方を教えてもらえるようになった。チーズ好きの仲間として認めてもらえたようでなんだかうれしい。単に毎週買いに来るいいお客さんってだけかもしれないfが……。
ラベンダーの香りがほのかにする山羊乳チーズがトロトロに熟成しておりクセ者感が半端なかった。ボーフォールのフリュイテな香りと濃縮された牛乳のコクと甘みに秋を感じる。夏の放牧された牛の乳から作られたからの味と知って納得。1つのチーズで3種類の味を楽しめるイタリアのチーズは教わった食べ方を試してみたい。
1.フルム・ド・モンブリゾン
フランス 牛乳 青カビ
フランス中部の山岳地帯オーヴェルニュ地方で作られている青カビチーズでかつてはフルム・ダンベールと同一視されていた。フルム・ド・モンブリゾンは杉の木の棚で熟成させるため表皮がオレンジ色になり、まろやかで甘みのある味わいの中にミルクのコクが余韻として広がる。青カビの刺激は控えめでほのかに苦みがある。
2.サン・ドムナン
フランス 山羊乳 シェーブル
押し花のようになったラベンダーが飾られたかわいい山羊乳チーズだが、食べてみるとなかなかのクセ者。黄味がかりねっとりとした生地は乳のコクと甘みが濃厚で、乳の香りまでしっかり感じられる。熟成が進んだ状態だったようで、酸味は控えめだった。サン・ドムナンは巡礼者が祈りを捧げる礼拝堂のことのようだ。
3.ガレ・ド・ラ・ロワール
フランス 牛乳 ウォッシュ
ウォッシュチーズなのに見た目は白カビチーズ。トロトロになった生地はまるで生クリームを舐めているかのようなミルキーさ。ウォシュではあるが水で洗っているだけのためウォッシュ特有の香りはほとんどせず、ミルクの旨味を濃縮した味。一口食べるとミルキ~はママの味~♪と歌いたくなると説明するとどんな味か伝わる?
4.ガプロン
フランス 牛乳 白カビ
バターを作った後に残る低脂肪のバターミルク(ガプ)から作られた白カビチーズで味を補うためにニンニクと黒コショウが生地に練り込まれている。もっちり系の生地に黒い点々が点在しており、口に入れるとニンニク&コショウのスパイシーさを楽しむことができる。崩してサラダなどに混ぜて食べるとすごく美味しいかも。
5.シャープハム・チャイブ&ガーリック
イギリス 牛乳 白カビ
シャープハムはニンニクとチャイブ(西洋アサツキ)が生地に混ぜらている。しっかりしている生地を口に運ぶとニンニクとチャイブの風味が感じられ、遅れてミルクの甘みがやってくる。食べるのは二度目だが、一度目はニンニクが強め、今回はチャイブの風味が強めに感じられた。切り分ける場所によって味が変化するようだ。
6.ボーフォール・エテ
フランス 牛乳 セミハード・ハード
サヴォワの山岳地帯で作られるフランスを代表する山のチーズがボーフォールだ。冬は雪に閉ざされる高地なので、夏の放牧可能な期間に作られた物を特別にエテと呼び、区別している。アルプスの牧草を食んだ牛乳は複雑な味わいで甘みとコクがしっかり感じられる。香りも芳醇でフリュイテさではコンテに引けを取らない。
7.サルヴァ・クレマスコ
イタリア 牛乳 ウォッシュ
塩水で表皮を洗いながら熟成されるのでウォシュチーズではあるが、セミハードチーズでもあり、中央部はソフトチーズでもありと1つのチーズで3種類の味を楽しめる。薄くスライスして味の違う部分をミルフィーユのように積み重ね、少しだけオリーブオイルをかけて食べると絶品であるそうだ。今度試してみようと思う。
著者: へた釣り