日本で最も著名な美食家といえば実在の人物ではないが海原雄山だ。雄山のモデルとなった一人が、フランスを代表する美食家で「美味礼賛」の著者、ブリア・サヴァランではないかと想像している。ブリア・サヴァランの名が付いたチーズを発見した。レアチーズケーキみたいで絶品。
ブリア・サヴァランは食に関して様々な名言を遺しているが、引用されているのをよく目にするのが「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人間かを言いあててみせよう」。法律家なので理知的でエスプリの塊のようなフランス紳士の言葉だ。言い回しこそ違うが、海原雄山だって同じようなこと言ってたような記憶があるが…記憶違いかな? チーズに関しても「デザートにチーズがないなんて…片目のない美女のようだ」と言っている。そんなブリア・サヴァランの名を付けたデザートチーズである。とびっきりの最上級品でなくては遠の昔に葬り去られていたはず。
真っ白でチーズというよりは生クリームのように見える。熟成していないフレッシュタイプのチーズなので香りはほとんどしないが、鼻を近づけてみると牛乳の匂いがほのかに香る。フォークを立てるとスッと抵抗もなく入っていく。濃厚なミルクの味が口いっぱいに広がり、さわやかな酸味を残して溶けるように消えていく。レアチーズケーキのようなと評されることが多い。ハチミツやシロップを少し加えて甘味を足すとチーズケーキらしさが増すかもしれないが、このままで十分、スィーツ感覚を楽しめる。
チーズなんて食べたことがないけれど…1回くらい美味しい物なら食べてみたいって人に手放しでお勧めできるチーズだ。万人受けする味なので、ハズレることはまずない。丸々1個はなかなか手を出しにくい値段になるが、1/6や1/4にカットされて売られていることがある。それならちょっと高級なチーズケーキを買ったと思えば冒険できる価格になる。
著者: へた釣り