水牛乳で作られたモッツァレラの美味しさに驚いて、機会があればまた食べたいなと狙っていたら「ブッファラが好きならこれ!! 是非食べてほしい!!」とイタリア人気質の明るい日本人店員さんに三つ編になった物を強烈にプッシュされる。いわく「モッツァレラは大きいほど美味!!」。本当?
よく見かけるモッツァレラには2種類の大きさがある。小さい物はボッコンチーノという一口サイズの物でピザやサラダの上に乗っているのを見たことある人が多いと思う。「モッツァレラは大きいほど美味!!」という言葉に反応してしまったのはボッコンチーノの味に???となったことがあるから。グリーンサラダに乗せると純白でかわいらしい形のボッコンチーノはよく映えるがすごく美味しいかと言われると普通のサイズのモッツァレラの方が味が濃厚で美味しい気がする。水牛乳のボッコンチーノ・ディ・ブッファラも試してみたがやはり少し物足りないと感じた。
通常、モッツァレラとして売られている物のサイズは100グラムから150グラムの間の物が多い。モッツァレラは乳酸発酵させた水牛乳に酵素を加えて作ったカードと呼ばれるチーズの素に熱湯を加えてお餅のような硬さにし、それを練ったり伸ばしたり(パスタフィラータ)しながら球形に成形する。モッツァレッラという名はイタリア語で引きちぎるという意味の「モッツァ」から来ており、モッツァしたカードを球形にまとめやすい、人間の手の大きさにフィットしたこの大きさがモッツァレラの基本的なサイズになったんだと思われる。水牛乳で作られたモッツァレラ・ディ・ブッファラは文句なしに美味かった。高価なのでたまにしか買えないのが残念。
モッツァレラを三つ編にした物が存在するってことはチーズの本で知識としては知っていたが、これまで見かけたことがなく、日本では手に入らない物と勝手に思い込んでいた。デパートの催事場にあったイタリア食材を扱うお店で、トレッチャ・ディ・ブッファラという名で売られているのを見つける。もともと食べてみたかったチーズだ。「モッツァレラ・ディ・ブッファラが好きならこれ!! 是非食べてほしい!!」「モッツァレラは大きいほど美味!!」と畳みこまれたら買わざるを得ない。少しお高かったが買った。
モッツァレラ・トレッチャは250グラムなので普通のモッツァレラの2倍の大きさ。手でこねて丸めることができなかったので引きのばした物を三つ編のように編んで形をまとめたのだと思われる。カード自体は同じ物を使っているので味の違いを左右するのは、大きければ大きいほどより多くのフレッシュな状態の水牛乳のカードを内包できるからだと推測していた。果たして……ボッコンチーノとモッツァレラほどには、モッツァレラとトレッチャの味に差はないかなぁというのが正直なところ。がっかりしたかって? とんでもない。すごく美味しい物の量が2倍になったわけだからがっかりどころか大喜びだ。値段もモッツァレラ・ディ・ブッファラを2個買うよりも安いしね。
著者: へた釣り