新しい納豆とはなかなか出会えないが見つけたら必ず買う。小粒納豆は舟納豆の一強状態がしばらく続いたが、最近になってこれに勝るとも劣らないのではと感じる小粒納豆に立て続けに出合った。東京・登喜和食品の「武蔵府中納豆 けやき」と青森・太子食品の「北の大豆 小粒」だ。
納豆を食べるようになって最初は大粒納豆にハマった。納豆は食わず嫌いだったが大豆はもともと嫌いではなかった。だから大豆の味で勝負する大粒の納豆は馴染みやすかった。でも、豆一粒一粒の美味しさだけでなく、粘りによってまとまった塊をズズズとすするように食べる小粒納豆の方が納豆らしさを味わえて面白いのではと次第に感じるようになってきた。そう気付かせてくれたのが茨城・丸真食品の舟納豆だった。豆一粒一粒の美味しさを残しながら塊としての納豆の美味しさを存分に味わえる。見かけたら買うというだけでなく、茨城マルシェまでわざわざ買いに行く。小粒納豆といえば舟納豆という時期がしばらく続いた。
登喜和食品の納豆は比較的よく見かけるのでこれまでにも食べたことがあったが、けやきは包装からして上位ブランドっぽい。お値段も少々高めだ。経木に包まれた納豆は極小粒で開くと納豆の臭いに混じって燻製の香りがするのが分かる。粒はしっかりとしていて表面に白い糸をまとっている。混ぜると細くきれいな糸を引くが粘りは強くない。芥子屋四郎のタレと2つ付いてくる粒が少し残っているカラシを入れてさらに混ぜる。つややかできれいな納豆だ。しっかりとした歯ごたえがあり大豆の甘みを感じられる。余韻に大豆の苦みではなく薫煙炭火作りという製法がもたらしたのであろう燻製香が残る。
わざわざ東京まで輸送コストをかけて運ばれてくる納豆にマズい物はないと信じている。某スーパーで見つけたのが青森の納豆、北の大豆 小粒。値段も手ごろで不味くはなかろうが絶品ということもなかろうとさほど期待していなかったが、予想はいい方向に裏切られる。小粒の納豆はつややかで輝いているように美しい。ネバリは強めで混ぜていると箸に強い抵抗を感じる。少し多めのタレで伸ばしてちょうどいい感じだ。柔らかめの豆はかきこむように食べるとちょうどよく、納豆を食べている喜びが味、香り、食感の3つではっきり感じられる。コスパがよいし入手しやすいので一番よく食べる小粒納豆になっている。
著者: へた釣り