糖質が大好きで摂りすぎたせいで糖尿病になってしまった。元々大好きだった物の悪口を聞かされるのは元カノのよくない噂を聞かせれているようでなんだかいたたまれないが、人間が老けるのにも呆けるのにも糖質の摂り過ぎが悪影響を及ぼしている。AGEs(終末糖化物質)って何だ?
たんぱく質と糖が加熱されて結びつくこと(メイラード反応)によって生成されるのがAGEs(Advanced Glycation End Products:終末糖化物質)。食品の調理中に発生することもあるし、体内でたんぱく質と糖が体温によって加熱することで生成されることもある。前者は糖を減らし調理法を変更することで摂取量を減らすことができ、後者は血中に余剰な糖を流さない糖質オフ生活によって生成を阻むことができる。AGEsなんて聞き慣れない物、気にする必要ないんじゃない? とんでもない!! AGEsを意識して抑え込まないと、ガンになりやすくなる、血管の老化が進み動脈硬化を起こしやすい、お肌にしわ、しみ、くすみが現れる、骨粗鬆症になりやすい、アルツハイマー病まで引き起こすと言われると……ちょっとどころか真剣に意識しておきたくなる。
たんぱく質と糖を加熱する料理ってことは、魚や鶏肉の照り焼きはたんぱく質にみりんと醤油をたっぷり塗りつけて加熱するわけでAGEsを多く含むことになる。すき焼きや焼き肉なども超危険。砂糖がたっぷり入った割り下やタレで牛肉を焼くのであるからAGEsの生成量はかなりのもの。北京ダックもAGEs料理法の代表だ。あひるの皮に油と水あめをたっぷりかけて揚げていくのだから食べるのを避けるべき料理だ。揚げ物、炒め物、焼き物はいずれも高AGEs食品だ。中でもたんぱく質と糖を同時に高温加熱している物(例:トンカツ、唐揚げ、ドーナツなど)は最悪と覚えておこう。
AGEsの生成量は調理法でその差が出る。たんぱく質と糖を組み合わせた物を、焼く、揚げるなどの方法で調理するとAGEsの量は急増する。一方で茹でる、煮る、蒸すなどの調理法ではAGEsの増加はいくらか緩和される。これは油の温度に比べ、水を使う調理法だと100度までしか温度が上がらないためである。たんぱく質と糖を組み合わせた料理は茹でる、煮る、蒸すを基本にしよう。畜肉や魚を焼くなら塩こしょうで。魚を煮付ければ、蒲焼きや照り焼きよりもいくらかはAGEsを少なくできる。みりんや砂糖を加えた煮汁で加熱するのが気になるなら、沖縄の家庭料理の技法であるマース(塩)煮はどうだろう。少しでも糖質を減らしたいときに便利な調理法である。
AGEsは食品として摂取するだけでなく、体内でも生成されてしまうのが少々ややこしい。摂取された余分な糖質は血中でブドウ糖となり、体の組織や細胞のたんぱく質と結びつき体温で熱せられる。これで発生するのが内因性AGEs。糖尿病になると血糖値が下がりにくいわけで、内因性AGEsを大量に作り続けることになる。糖尿病になると「15歳老けこむ」と言われるのはこのせい。AGEsの害が最も分かりやすく現れるのがお肌。コラーゲンが劣化し肌のしわ、たるみ、しみとして現れる。「老け顔の人は早死にする」という研究結果もある。AGEsによる悪影響は目に見えない体内でも進んでいく。動脈硬化、骨粗鬆症、白内障、がん、アルツハイマー病のリスクが増す。つまり早死する確率が高くなるというのである。
たんぱく質は体の組織を維持するのに欠かせない。となると、解決法は糖質オフ以外にない。余剰な糖質の摂取を控えることでAGEs発生による老化のリスクは抑えられる。その目安がゆる糖質オフ生活で定められている1日当たりの摂取糖質量130グラム以下だ。体重が増えもせず、減りもせずってことは摂取した糖質が過不足なく消費できている状態だと考えられる。これに経口摂取するAGEsを少しでも減らす努力をすれば、老けない呆けない健康的な生活を送ることができるようになる。老化や痴呆まで糖質の摂り過ぎのせいだったとはっ!!
著者: へた釣り