食は嗜好品。嫌いな物は無理して食べなくてもいいと思う。野菜が全部嫌いというのはマズイが、食べられない野菜が1つ2つあっても食事のバランスは取れる。1カ月前まで納豆が大嫌いだった。そんな俺があえて書く。食わず嫌いだったころの俺に教えたい納豆を食べるべき5つの理由。
きっかけはネバネバの食品が小腸からの糖質の吸収を緩やかにし血糖値の上昇を抑えてくれると知ったこと。納豆以外にもオクラやメカブ、トロロ芋などが勧められていたが、特に納豆は食物繊維を豊富に含み大豆のたんぱく質にインスリンの分泌を促す作用があることから◎で推奨されていた。食ってみるかと思い立つ。納豆が嫌いだったというのは正確ではない。大阪生まれで納豆は臭くてばっちい物と刷り込まれて育ったため、生まれてこの方、一度として食べたことがなかったのだ。食ってみたらびっくりするほど美味かった。49年の長きにわたって納豆を食い逃してきた悔しさを埋めるため、最近のマイブーム食品になっている。
調べてみると、納豆は糖質の吸収を緩やかにするというだけでなく、さまざまな効能があることを知る。
畑の肉と例えられることもある大豆はたんぱく質を豊富に含む食品だが、大豆を煎って食べると消化に悪いらしくたんぱく質は20%程度しか吸収できない。すり潰して(豆乳や豆腐)も60~70%の吸収率。納豆だと、たんぱく質が発酵の過程でアミノ酸化することで80%以上吸収できるようになる。どうせ大豆を摂取するなら1日1パックは納豆で摂取しないと、せっかくのたんぱく質がもったいない!
老人の大腿骨の骨折件数が西高東低なのは関西では納豆を摂らない人が多いからという話をA井先生から教えていただく。いくらなんでもそんな馬鹿なと思ったが、祖母も股関節を骨折し金属製の人工関節のお世話になっていたのを思い出す。大豆には骨の形成を強化すると同時に、骨からカルシウムが流出していくのを抑える働きを持つビタミンK2が含まれている。大豆に含まれているビタミンK2が納豆菌の働きによって124倍に増えるというのであるから納豆なしでは骨の老化を止められない?
ビタミンK以外にも骨の老化を予防する働きをする大豆イソフラボンが大豆には含まれている。一種の女性ホルモンとして作用し、閉経による急激な女性ホルモン減少によって発症する骨粗鬆症の予防に役立つようだ。納豆に含まれるイソフラボンは大豆よりもはるかに吸収されやすくなっているので、どうせ大豆を摂取するなら納豆がオススメということになる。イソフラボンは男性には関係ないかというとそうではない。イソフラボンを摂取することで男性ホルモンを抑制して女性ホルモンを活性化させるので、抜け毛や薄毛の緩和に効果がある!!!!
納豆には糖尿病の合併症の中で最も怖い動脈硬化を抑制する物質がたくさん含まれている。ナットウキナーゼは納豆特有の酵素で、ネバネバの中に含まれる。活性を持ったまま腸内まで到達し血管にできる血栓を溶かしてくれる。大豆サポニンは大豆特有のえぐみや渋みの正体で抗酸化作用に優れた栄養素だ。脂質が酸化するのを抑えながらその代謝を促進してくれるだけでなく、中性脂肪の吸収を抑制する効果もあり動脈硬化を防いでくれる。ポリアミンは納豆だけでなくチーズなど発酵食品にも含まれる。血管壁の炎症を予防し、動脈硬化を予防する効果があるとされている。
大豆には食物繊維がたっぷり含まれている。納豆なら100グラムあたりの食物繊維は6.7グラム。内訳は水溶性食物繊維が2~2.3グラム、不水溶性食物繊維が3.9~4.4グラム。食物繊維と一括りにしがちだが、この2つは働きが全く違う。水溶性食物繊維は便を柔らかくして便を出しやすくしてくれる。不水溶性食物繊維は便の量を増やして腸の活動を活発にしてくれる。ここで注意すべきなのは、不水溶性食物繊維ばかり増やすと便の量が増えてしかも硬くなるので……便秘が重症化する可能性がある。水溶性食物繊維には消化酵素の働きを弱めて余分な栄養を吸着するという働きもあるのでダイエットにも効果がある。
このほか納豆菌による腸内環境の向上、大豆レシチンによる記憶力や学習能力の向上なんて効果もあるようだ。納豆を食べたことがあって不味いから食べないって人には何も言わない。食べたことがないけどなんとなくイメージが悪いってだけで食べてない人は、健康によい食べ物なので一度は試してみるべきだと思う。
著者: へた釣り