パルミジャーノ・レッジャーノのカッティングショーで世界一のフロマジェのファビアン・デグレ氏から「ミネラル感のある白ワインや日本酒が合う」と教わる。ミネラル感とは何?とは聞けない。あとで調べれば分かるだろうと考えていたが、何のことなのやらさっぱり分からない。さぁて困った。
赤ワインなら軽口(ライトボディ)←中口(ミディアムボディ)→重口(フルボディ)とタンニン(苦み)の強弱でだいたいどんなタイプのワインかを想像できる。白ワインでも甘口←→辛口と品種を頼りに選べばなんとなくこんな味なのかなと想像がつくようになってきた。そこに現れたのが「ミネラル感」なる新指標。それがゼロサム的に有無で考えるべき物なのか、強弱で考える物なのかさえもよく分からない。糸口がないときはプロに聞くのが一番と、ワインショップで「ミネラル感があるワインを下さい」と頼んでみると、2店で頼んで2店ともシャブリを勧められた。「他には?」と問うと、弱ったなって顔をされる。ワイン初心者でも分かりやすくミネラル感があるのはシャブリだけなのかな?
ミネラル感というのはブドウが育った土壌に含まれる成分のことらしく、それがブドウの味に影響を与え、さらにワインの味にも影響があるってことらしい。ではミネラル感ってどんな味?と聞くと、これまた店員さんを困らせる質問であったようだ。自分でシャブリとほかのワインを飲み比べてミネラルとは何かを考えてみるしかなさそう。シャブリはブルゴーニュの北部で作られるシャルドネ100%の白ワイン。この地域は昔は海底だったそうで土を掘り起こすと牡蠣などの貝殻の化石がいっぱいでてくる土壌であるらしい。ほかのブルゴーニュで作られたシャルドネ100%のワインと飲み比べてみると……よく分からない。なんとなくシャブリの方に塩っぽさを感じるのはかつては海底だったという情報がもたらす錯覚かな? この差を持ってミネラルの有無を判断せよというのであれば、かなり舌を鍛えなくては……。
これが日本酒のミネラル感と言われるともっと分からなくなる。ワインの場合は、どこの畑で採れたブドウから作られたということがはっきりしているが、日本酒の場合は原料の米の種類は明示されているが産地は分からないことがある。とすると米の違いではなく、水に含まれるミネラル感を感じろってことかな? 日本酒の味は水の善し悪しで左右されることは知っているし、実感もあるが、それをミネラル感と表現されると、急に分からなくなっちゃうような……。チーズのフリュイテに続いて、お酒のミネラル感も実に悩ましい。
著者: へた釣り