フェルミエ渋谷店で行われたパルミジャーノ・レッジャーノのカッティングショーを見てきた。マグロの解体ショーもそうだが食べ物には見えない巨大な物が職人の繊細な技で食べ物へと変身していくのは面白い。チーズなので割れた瞬間の香りがすごかった。日本酒の話も聞けたよ。
東急東横店地下にあるフェルミエ渋谷店の店頭には40キロもある巨大なパルミジャーノ・レッジャーノがど~んと置かれていた。これを世界一のフロマジェであるところのファビアン・デグレ氏がカットして、試食、購入できるというイベントだ。パルミジャーノ・レッジャーノが割れた瞬間にパッと広がるチーズの濃厚な香りに感動できるという情報を聞いていたので、かぶりつきで見学だ。割りたてのパルミジャーノ・レッジャーノはお味の方も格別らしい。
40キロのパルミジャーノ・レッジャーノを丸々1つ買って自分でカットすることなんてないだろうから割り方を覚えても意味はないのだろうが、3種類のナイフを使って、望む大きさに切っていく大胆かつ繊細な作業は見ていて面白かった。まずは専用のナイフで外皮にまっすぐに切り込みを入れる。次に中央部に楔のような働きをするナイフを突き立てる。最後に2本の鋭利なナイフを切れこみに刺し、押し広げるようにすると、大きくて硬そうなチーズが職人の意図した位置でパカッと割れる。同じ手順でチーズはどんどん小さく割られていく。
割れ目から一気に漏れだす香りは期待していた以上に芳醇かつ濃厚。香りだけで涎が本当に出る。パルミジャーノ・レッジャーノを食べるとき香りが立つように擦り下ろして粉状にするが、まだ塊のままなのに割りたての香りは遥かにすごい。香りだけでチーズの甘みが感じられるような気がする。カチワリにした物が一欠け試食で振る舞われたのだが、その味はさらにすごい。パルミジャーノ・レッジャーノは乾いて結晶化したジャリジャリとした生地の旨味を味わうものだと思っていたが、割りたてはしっとりしている。ミルクの旨味を凝縮したような味わいはそのままだがほど良く水分が残っていてストレートに口の中いっぱいに美味しさが広がる感じだった。割りたては別物といってもいいかも。
これまで食べたパルミジャーノ・レッジャーノの中では群を抜いて美味しかった。すぐに食べられるカチワリにした物を100グラムとブロックを100グラム買った。カッティングショーの最中、「日本酒にも合います」と言っていたので、お会計を待つ間に「どんな日本酒が合うか?」と聞いてみた。「チーズの余韻と日本酒を合わせるようなイメージで、ミネラル感豊富な銘柄が合う」とのこと。具体的な銘柄も聞いてきたので今度実際にマリアージュさせてみて報告するつもり。ファビアン・デグレ氏はラ・メゾン・デュ・フロマージュで参加したかった「日本酒が実はチーズに一番合う飲み物!?」の講師だった。
著者: へた釣り