恵比寿で最も入れない店が老舗居酒屋の「さいき」。わざと昭和っぽくしているのではない。単にお店が古いので昭和情緒たっぷりの渋い店になっている。孤独のグルメSeason4の最終話に登場したことによって、さらに人気が高まり、いつ覗いても満席だという、ミーハーな店でもある。
恵比寿駅周辺の飲み屋街のいわうるケンタッキー通りにさいきはある。うっかりすると見落として前を通り過ごしてしまいそうなほどに主張しない店構えで、光って目立つはずの看板は植木の後に隠れている。看板には「酒寮 さいき」とある。老舗居酒屋と書いたがさいきは居酒屋っぽくはない。かといって小料理屋や割烹というわけではなく…。茶会を行う場所のことを茶寮と呼ぶが、酒盛りを行う場所なので酒寮ってことかな? 8人か9人でいっぱいになるカウンターと4人掛けのテーブルが2つ。メニューは壁に掛けられた黒板にあるだけ。
席に着いてお酒を頼む。からり芋のお湯割りにした。黒板を見て何を食べようかと考えるが、過ぎに頼んではいけないのがさいき流。お酒を頼むと、自動的にお通し3皿がやってくる。この日はまず鴨のロースト、続いて春雨のサラダ、そして鯛のお刺身が出てきた。このお通しが1300円なので、ニセンベロ狙いならお通しとお酒で成立する。合鴨のローストも春雨も美味しかったが、鯛の刺身が絶品だった。
さいきの名物料理は、孤独のグルメで紹介された海老しんじょうなのだが、いきなりそれを頼んでしまうとミーハー感が全開になるので、見栄はりのおっさんとしてはぐっとこらえる。鯨のお刺身から。血なまぐささをほとんど感じない蕩けるような鯨だった。
続いて厚揚げ。これがまた、買ってきた厚揚げを温めたものではなくて、揚げたてホヤホヤがやってくるのだからたまらない。細かく削ったかつお節が熱々の厚揚げの上で踊る。ほかの役味はネギとショウガ。ちょうどいい大きさなので1個丸々口の中に入れたくなるが、やけどするので注意が必要。
昭和な居酒屋にくると頼みたくなるのが出汁巻き玉子。たっぷりの出汁を使って作られた玉子焼きはお酒のお供に最高。もう1品、エイヒレの煮付けというちょっと珍しい物を頼む。お酒を4杯くらいいただいてほろ酔いを少し超えたいい具合の酔っぱらいに。肝心の海老しんじょうはって? 頼み忘れたwww
著者: へた釣り