実家の用事で毎月、大阪へ。母の口癖である「ええもん食べにいこ」に甘えて、一仕事終えた後はプチ宴会。贅沢すぎないように、でもええもんというからには美味しいお店を探す。4月のええもんは相生橋・正宗屋のカステラと裏なんば・魚屋ひでぞうの刺し盛りほか。安くて旨いが大阪飯。
この日は予約しないとまず入れない人気店である魚屋ひでぞうを予約してあったが、思ったよりも早く用事が片付き、予約の時間より早く体が空いてしまった。日は落ちんとしている。こんな時間に喫茶店でという選択肢は呑兵衛ぞろいのへた釣り家にはない。平日は昼から日曜は朝から開いている居酒屋の正宗屋相合橋店へ。既に賑わっていたが、運よく席は確保できた。このお店の看板料理、格好つけて言うとスペシャリテがカステラ。お菓子ではない。煮た鯛の子の上にカニ味噌がトッピングしてあり、プチプチとした食感と濃厚な味わいを楽しめる。これがもう日本酒に合う。もう1つの名物料理である牛すじを甘めの白味噌で煮たどて焼きを2、3本つまんで、下地を作るだけのつもりだったがついついお酒をお代りしてしまう。お造りも美味しいことは知っているが、お造りを頼むのだけはなんとか我慢する。
魚屋ひでぞうは裏なんばに、立ち呑み店、難波店、別館、鮨ひでぞうと4店ある、魚の卸業をしていた店主が経営する居酒屋さん。なんば近辺で安くて美味い魚を食わせてくれるお店を探すと、必ずその名が上がる。1か月近く前に予約の電話を入れたが、難波店は既に満席、別館をなんとか予約できたという繁盛店だ。お造り盛り合わせ7種を頼むと、本まぐろの赤身、平目、真鯛、サワラの炙り、鯵、タコ、ホタテが盛られてくる。鮮度よし、お値段安心、そして見た目に美しい刺し盛りを前に、予約が取れないわけだと納得。お刺身はカンパチを追加したがこれまた絶品だった。
口コミ情報を見て頼まなきゃと決めていたのが鹿野ベーコンのポテサラ。燻製された半熟の玉子を崩してポテトサラダに混ぜて食べる。黄味が絡んだポテトはマッシュポテトほどではないものの滑らかな舌触りで、細かく刻んだベーコンがアクセントになっている。真鯛のかぶと焼きは最高の焼き具合で頭肉、カマの肉、目玉の回りのとろとろまで食べられる部分はわずかも残さず、骨にしゃぶりつくようにしていただく。ちょっと変わった物をということで黒めばるとたっぷり魚介のアクアパッツァ。猛烈にワインが欲しくなる。大満足の魚料理とお酒を楽しんで、一人3000円いかないのだからひでぞう恐るべし。
著者: へた釣り