月一で大阪に行き、美味しい刺し盛りを求めて居酒屋巡りをするようになって関東と関西で美味しいとされているお刺身が違うのではないかと思うようになった。関西では「よく活かってる」が褒め言葉、関東ではシンプルに「旨い」刺身が求められる。恵比寿 魚一商店のお刺身は旨かった!!
恵比寿駅西口を出て駅前の信号を五叉路方向に抜けて行く通りの左側、ピーコックまで行くと行きすぎという場所に恵比寿 魚一商店はある。間口はこじんまりとしている。視線を少し上げて「産直鮮魚と新鮮野菜 恵比寿 魚一商店」という看板を探すと見落とさない。飾らない店である。夜でも一人で食事を兼ねてという使い方がしやすい雰囲気のお店だ。刺し盛りのコストパファーマンスでは恵比寿一なのではないかと思っている。一人前あたりの値段は難波の人気居酒屋と互角で、盛られている種類では勝っている。
最近、あちこちでみるようになった神泡のザ・プレミアム・モルツのお店だが、糖質の関係で乾杯はウーロン割りで。お通しは何種類か運ばれてくるので、気に入った物を1つ選ぶ。乾杯が済んだら迷わず頼むべきなのが刺身盛り合わせ。10種盛り+玉子焼である。特上を頼むと10種のうち2種がウニとイクラになる。並みの方なら2人前1880円、3人前2380円。3人でなら1人前793円。東京でこの値段の刺し盛り…運ばれてくるまで安かろう悪かろうではないかと不安になるが、魚一商店のは間違いない!!
この日は、太刀魚、カンパチ、赤ムロアジ(オアカムロ)、北海タコ(ミズダコ)、真鯵姿造り、生本マグロ、活ホタテ、ホウボウ、黒ムツ、カマス焼霜造り。店長がこの日一番のオススメとしていたのがカンパチ。そしてカンパチこそが関西のお刺身と関東のお刺身の差を最もはっきりと感じさせてくれた。鮮度の良さを感じる食感の良さなら関西の勝ち、一方で魚の旨みをしっかり感じることができるのが関東の、魚一商店のお刺身だ。ほかの魚も全部、少し熟成させ魚の脂の旨みを最も楽しめる状態にしてあった。どちらが美味しいというものではない。釣り人なら実は両方楽しんでいる。少し早いけどと食感を楽しみ、何日か寝かせてから旨みを楽しむ。両方好きというのは本物の魚好きなのではないかと思う。
美味しい魚とくれば、美味しい日本酒であるべきだ。この銘柄をというこだわりがないのなら飲み比べセットがオススメだ。そのとき入っている日本酒の中でオススメの3種を出してくれる。この日は京都の羽田酒造の脱兎、
山陽盃酒造の播州一献 愛山、栃木は天山酒造の七田 雄町。3つともワイングラスで気取って飲む系ではなく、お猪口でグイッといきたい系なのが個人的には嬉しい。マグロ祭りというのをやっていたのでマグロのなめろうを追加する。中落ちを味噌でまとめてあり、これがまた日本酒に合う。
店の売りは産直鮮魚と新鮮野菜なので、新鮮野菜を食べずに帰るのは惜しい。季節野菜と2種類の贅沢ソースを頼む。和製バーニャカウダといった一皿で、水ナス、鈴かぼちゃ、紅芯大根、ゴールドラッシュ(とうもろこし)、プチトマト、大根、キュウリ、人参をウニマヨソースとカニ味噌マヨソースに付けて食べる。夏酒でよく見かけるようになった、微発泡で酸味のある日本酒あたりとすごくよく合いそうだ。
著者: へた釣り