毎月第3週の週末は実家の用事で大阪へ。仕事が済んだら母の「ええもん食べにいこ」に甘えて難波を中心に大阪の美味しい肴をいただく。5月のええもんを求めて訪れたのは、なんばパークス近くの路地裏に店を構える「哲剣」。安い、多い、旨いという大阪の居酒屋の鑑のような店だった。
母はお刺身が美味しいお店に行きたがるので、刺し盛りの評判がよく、それでいて高すぎないというのがお店選びの条件になる。哲剣はイタリアン居酒屋なので、お刺身はどうなんだろうと少し懐疑的だったが、口コミ情報を追ってみると、とにかく刺し盛りの評判がよい。なのに盛り合わせで一人前780円とお安い。予約しなければまず入るのは不可能という人気店なので1カ月近く前から予約をしていた。
刺し盛りと並んでお店の名物となっているのが前菜盛り合わせ。お皿からこぼれんばかりに軽くつまめるいろいろなお料理を盛ってくれる。味つけはイタリアンというよりも多国籍な感じ。ハムサラダ、カレー味のレンコン、軟骨の唐揚げ、ベーコンのトマト煮込み、スペインオムレツ、ブロッコリーのシラス乗せ。1軒目にではなく、食事は済ませた2軒目で使うならこの前菜盛り合わせだけでグラスワイン数杯は十分に楽しめそう。際だって何かが美味いというわけではないが、味や食感のバラエティに富むので食べ飽きることなく楽しめる。お値段680円で文句なし!!
前菜に続いて運ばれてきたのが本日のお目当てである刺身盛り合わせ。金目鯛の炙り、活アコウ、サワラ、松皮カレイ、サーモン、平目、カンパチの7種が1人前で1切れずつ盛られて780円。前菜は際だって何かが美味いというわけではないと書いたが、お刺身はどれもこれもが際だって美味い!! 金目鯛は脂の乗りが申し分なく、松皮カレイと平目の白身魚の食べ比べが楽しい。魚自慢のお店のカンパチのお刺身が不味いわけがない。関東ではなかなか食べられないアコウ(キジハタ)のプリプリとした弾力と身から滲みだすような甘みが感動的だった。あまりの美味さに活アコウは単品でおかわりまでもらってしまう。
美味しい魚は骨までしゃぶりたい。「本日のカマ」にもアコウがあるのを発見する。480円なので迷うことなく注文。「サービスです」と運ばれてきたお皿にはアコウと一緒にクロソイのカマ焼きが乗せられていた。哲剣ではカマ焼きはポン酢と大根おろしで食べる。クロソイも十分に美味かった。でも、アコウ頭肉の官能的ですらある優しい味の前にクロソイはアコウの引き立て役になってしまっていた。
もう十分にお腹いっぱいになっているはずなのに料理の質が高いので無理をしてでももう1品を頼みたくなる。チーズ好きの元・大阪人的にはどうしても気になるのが、トマトとモッツァレラの焼きそば。モチモチの少し太めの中華麺にからんで伸びるチーズ、適度に甘みと酸味があるトマト、そしてバジルが鉄板の上でからみあう。糖質制限中でなければ1人で1人前食ってやりたい美味さだった。
ほかにも、ちとせの肉吸い(豆腐入り)、月島屋の土日限定焼肉ランチで食いだおれてきた。2日間の大阪行きで体重が2キロ増えたので、今週は節制しないと。
著者: へた釣り