おそばというと信州のという印象があるかも知れないがそばの生産量でいえば北海道は長野県に約9倍の差をつけてトップである。道東には摩周の湧水など美味しい水もある。北海道に行くようになり約20年。おそばは年々美味しくなっている。中標津の手打ちそば 伊とうで絶品と出会う。
道路を1本間違うと全く思ってもしなかった所に行ってしまうこともある北海道なので、道案内はできないが、標津郡中標津町の旧市街地にあるビルの1階にお店はある。格式を感じさせるといった風情はなく、普通にある町のおそば屋さんという店構えなのだがお昼前に既に満席になっていることも珍しくないそうだ。店内は4人掛けのテーブル席が5つとカウンター席。カウンターがあるのでそば好きが一人で突撃しやすいのがうれしい。おそばは藪(挽きぐるみ)と更科の2種類が用意されている。藪粉(三番粉)と挽きぐるみ(二番粉)のどちらで打たれたそばなのか紛らわしいが、田舎そばほどほぞほぞせずにそれでいてそばの風味はしっかり感じられるおそばになっていた。
初めて行ったそば屋ではもりを頼むと決めているので迷うことなく、藪と更科で1枚ずつもりを注文する。血糖値を気にしなくてはいけない体なのに2枚も頼むなんてと叱られそうだが、どうしても食べたい物を我慢するのは体によくても心によくない。両方もりでと注文すると、どちらを先にと確認してもらえるのがうれしい。味がより繊細な更科を先に持ってきてもらう。白くきれいなおそばが運ばれてくる。わさびを箸の先にちょんと付け、その箸でそばをひとすくい。更科なのでどっぷりとツユに付けて一気にすする。のど越しを楽しむのが更科。ツユたっぷりが基本だと信じている。残り少なくなってくるともう終わり?と惜しくなるが休まず、そばを乾かすことなく食べる。
更科を食べ終わるとほどなくして今度は藪のもりが運ばれてくる。中標津産のそば粉を使うというこだわりのおそばだ。そば粉100%の田舎そばではなく二八そばなので食べやすい。まずはそばだけ何も付けずになんて面倒なことはしない。おそばを一手繰りしたらお箸から垂れているおそばの1/3を目途につゆにつけて一気にすする。すすっている最中にそばを香りを楽しむ。個人的は香りがしっかりしているそばにはわさびは邪魔になると思っているので薬味は一味がよい。最後に運ばれてきたそば湯まで香り豊かで楽しめる。そば湯にはネギを入れて飲む。今のところ北海道(道東)で食べたおそばの中ではこれが一番かな。
著者: へた釣り