月に一度、実家の用事で大阪に行くことになった。へた釣りの母の口癖は「ええもん食べにいこ」。イントネーション通りだと「ぇえもん」かな? お店選びは任されている。お酒が飲めて高すぎず、落ちついた雰囲気でと絞りこんでいく。今月は難波は法善寺近くの桃酔でぇえもん食べてきた。
大阪の居酒屋の魚の美味しさにびっくりしている。先月行った居酒屋まさちゃんでは、自分で釣ったマゴチより美味しいマゴチのお刺身が食べられることに驚いたが、今月もこの値段で垂涎の高級魚が食べられていいの?と驚くことに。釣り人にとって憧れの魚であるアコウとシロアマダイを1皿1000円くらいで食べられる桃酔は難波の裏路地、法善寺のすぐ近くのビルの2階にある。まずはお刺身から。シマアジとアワビ、そして寒ブリのたたきを頼む。弾力を保ち身にしっかりとした旨みが乗ったシマアジは最高。アワビはコリコリとした食感を楽しめ口の中に磯の香りが広がる。寒ブリのたたきは皮側を軽く炙った身をたっぷりの薬味とポン酢を絡めて食べる。不味いわけがない。
メニューを見ていると気になる魚の名前が。東京ではあまりお目にかかれないアコウ(キジハタ)を酒蒸しか煮付けで食べられる。どちらがオススメか尋ねると酒蒸しとのことなので、アコウの酒蒸しを注文する。ハタ科の魚の歯を弾き返すようなぷりっとした食感を残しながら白身魚のほのかな甘みを味わえる。夏は薄造りにして食べることが多いが、煮ても蒸しても美味しい魚は美味しい。
食いしんぼうなのでアコウで満足とはならない。アコウの2つ左に「白甘鯛頭塩焼き」とある。幻の魚、シロアマダイが食えるというのであるからこんなチャンスを逃す手はない。アマダイの頭頂部のお肉は最高に美味い。アマダイよりも更に美味しいらしいシロアマダイの頭の肉のお味は? 頭の半分と胸鰭の部分、中骨が塩焼きにされて運ばれてきた。写真で見たことはあるが、シロアマダイの実物を見るのは初めてである。中骨は手づかみで歯で骨の間の身をこそげとるようにして食べる。頭はお箸で解体。食べられる部分をわずかも残さないようにして食べ進める。果たして、シロアマダイの頭頂部は……食べた瞬間、ぬふふふふと変な声が漏れたよ。
著者: へた釣り