ちゃんとした職人さんが作ってくれる和食はどうしてもお値段の方が予算を超えるのでディナーではそう頻繁に利用できない。恵比寿・ヒカリは長崎県佐世保市の魚が自慢の和食のお店だ。ランチは900円からとリーズナブルな値段でちゃんと仕事がされた和食を食べることができる。
恵比寿駅の東口を出て北里大学病院の方向へと向かうバス通りに店はある。数年前に話題になり行列が絶えないトンカツ屋さんだったキムカツの数軒横だ。夜は長崎県佐世保市の九十九島から取り寄せた魚のお刺身と長崎和牛の炙り焼きが絶品のお店である。引き戸になっている玄関には「普段(ふだん)使いの和食屋ひかり」と貼り紙がしてある。夜に普段使いするには収入が足りないが、昼なら確かな技で調理された和食を食べることができる。ランチの名物ははみだし天丼だが、丼飯では糖質オフにならないので定食をいただく。
ランチの定食は鮮魚刺身盛り、天婦羅盛り、牛肉豆腐、銀だら西京焼き、さば塩焼き、鶏塩麹焼き、ミックスフライ、アジフライ、そしておばん菜とある。いろんな味を楽しみたいのでおばん菜定食を頼む。450円足すと刺身小鉢も付けられる。心動くがここは我慢。「おばん菜定食を」と頼むと、「本日は鶏の唐揚げとお刺身です」と説明してくれる。もちろん否はない。
大きな正方形のお膳に乗せられて定食は運ばれてくる。鶏の唐揚げは3つ、お刺身はお店の名物料理の1つである長崎ハーブ鯖の昆布〆、小鉢はあさりの佃煮、ご飯とみそ汁、香の物、そして生玉子。少なすぎず多すぎずでちょうどいい分量だし、メインのオカズが揚げ物なので腹もちもよさそう。
唐揚げは薄い衣をまとってカラリと揚がっており、歯を立てると衣のサクッとした食感がまずあって、続いてプリッとした鶏肉の弾力。その瞬間に脂が口の中に飛び出してくるジューシーさ。余計な味を足さずに鶏の美味しさを引き出している。3つだともうちょっと欲しいなと感じる。そう感じるくらいがちょうどいい量なんだと思う。
ハーブ鯖のお刺身は昆布〆になっていてひと手間かかっていた。鯖はそれほど好きな魚ではないのだが、美味い。美味いといえば味噌汁が絶品だった。味噌の味が少し濃いめなのだがそれに負けてない出汁の強さ(いりこ出汁かな?)がある。具はワカメ、豆腐、ネギとオーソドックス。
おばん菜定食にはわざわざ「こだわり玉子付」と書いてある。黄色というより橙色をした黄味の玉子だ。生玉子があって、醤油もあって……ご飯はしっかり粒が立った炊き具合とくれば、玉子かけご飯である。この玉子かけご飯食べたさにまた来なくちゃという気分になる。
著者: へた釣り