道楽ってのは楽しみながらやるものである。糖質オフな食事のお楽しみといえばチーズ道楽にワイン道楽。珍しいスペイン産のチーズが手に入ったら、ワインもスペイン産を飲みたい。そんなささやかなお楽しみを500円で買った1本のワインがかなえてくれるだから道楽はやめられない。
ワインの話を書くと、もっと高いワインじゃないとワインのよさなんて分からないよとツッコまれることがあるが、1本3000円以上もするワインを買って飲み続ける財力はない。続けられるってことの方が道楽者には大事なのである。今回のワイン「ソルーナ ガルナッチャ」なんて1本498円で投げ売りされてたのを買った。そんなにいいワインではないんだろうけど、スペインのチーズを食べるからワインもスペインのにしたいというささやかな希望を満たせるってことが大事だと思っている。
チーズを勉強しているとワインの勉強になることもある。ムルシアのワインはがっしりした骨太のワインの代表だったようだが、最近でそういういワインはウケなくなってきているらしく、ムルシアのワインもちょっとイメージチェンジをしてきているそうである。2000円くらいで買える物もあるみたいなので、今度買ってきて飲んでみよう。
1.キュレ・ナンテ
フランス 牛乳 ウォッシュ
フランス革命の時代、ロワール河下流の都市・ナントの街に逃れた司祭(キュレ)が造ったと言われている歴史あるチーズ。表皮をゲランド産の塩で洗っているため、納豆のような濃密な香りがする。ふっくらとした生地はミルクのおだやかな甘味が感じられて美味しい。クセはほとんどない食べやすいウォッシュチーズだ。
2.ラム・ド・クール
フランス 牛乳 白カビ
ハート型のチーズの1つであるヌーシャテルをラム酒に漬けこみ、へーゼルナッツをまぶした物。チーズの部分はほんわかと優しいミルクの味だが、少し遅れてラム酒の味と香りがガツンとやってくる。お酒好きの人へのバレンタインのプレゼントには最高かもしれない。ナッツにはキャラメルがからめてあるので糖質がちょっと不安。
3.サント・モール・ド・トゥーレーヌ・ドゥミ・アフィネ
フランス 山羊乳 シェーブル
藁が通った円筒形のチーズ。「ドゥミ・アフィネ」はほどよく熟成させたという意味。表面の木炭と生地の間が少しトロトロになっていた。若い物に感じた酸味はなくなっており、代わりに山羊乳の味が濃縮されクリーミーさが増す。香りも熟成が進むとナッティーになり、チーズの熟成とはこういうことかっ!と驚かせてくれる。
4.ロックフォール・パピヨン・オーガニック
フランス 羊乳 青カビ
世界最古のチーズの1つとされるロックフォールは熟成を決められた洞窟内で行わなければならないなどの厳しいルールの下で作られる。青カビの刺激と羊乳の甘みとコクのバランスが絶妙で口の中で消えて行くのが惜しくなる、ザ・青カビチーズといってもよいのではないだろうか。奥深い味わいにうっとりしちゃうよ。
5.ボーフォール・エテ
フランス 牛乳 セミハード・ハード
サヴォワの山岳地帯で作られるフランスを代表する山のチーズがボーフォールだ。冬は雪に閉ざされる高地なので、夏の放牧可能な期間に作られた物を特別にエテと呼び、区別している。アルプスの牧草を食んだ牛乳は複雑な味わいで甘みとコクがしっかり感じられる。香りも芳醇でフリュイテさではコンテに引けを取らない。
6.ケソ・デ・ムルシア・アル・ビノ
スペイン 山羊乳 セミハード・ハード
ムルシア地方で作られるワインはがっしり骨太で赤というより黒ワイン。度数は18度あるなんてことも。そんなムルシアワインで洗いながら6週間以上熟成された山羊乳のチーズだ。生地の白さと表皮のワイン色との対比が美しい。酸味はほとんど感じられず、ワインのタンニンによって引き立てられたチーズの甘みを強く感じる。
7.イディアサバル
スペイン 羊乳 セミハード・ハード
フランスとの国境近くで作られている羊乳のチーズでサクラやブナのチップを使って裏表24時間ずつ燻製されている。もともとは台所の煙で自然に燻されていたらしい。羊乳のコクのある甘みと燻製香とは相性抜群。燻製香は強すぎず弱過ぎずな絶妙な加減になっている。スモークチーズが好きなら試す価値あり。
著者: へた釣り