ここのところ国産のチーズばかり食べていた。日本人の味覚に合いミルキーで食べやすかったが、個性豊かでくせ者感がある輸入物チーズを食べたくなったので、チーズプラトーを作った。一部のチーズは封を切った瞬間に、「くせ者だぁ~!! 出合え~!」ってほどに強烈な香りがw
国産チーズは大人しいという印象は間違ってないように思う。チーズコンクールで賞を取り国際的な評価が高まっているとはいえ、主な消費地である日本人の味覚にマッチさせるためにはどうしても個性を抑えて、ミルキーさで勝負することになってしまうんではないかと…。一方の輸入チーズは数多あるチーズの中から選んでもらわなくてはいけないわけで、個性が際立った物が数多く見つかる。今回はくせ者感をテーマにチーズプラトーを作ってみた。
(左上)
グレ・ダルザス
フランス 牛乳 ウォッシュ
臭いと言う点では最もくせ者感がすさまじかったのがこれ。塩水で表面を洗ったウォッシュタイプ。表面はしっとり湿っておりシダの葉が飾られている。さぞかし味も強烈な…と覚悟して食べてみると、少しねっとりとした食感とミルキーな風味が極上だった。臭いが気になる人は外皮(特に側面)を剥がして食べるといい。
(左下)
カステルマーニョ 90日熟成
イタリア 牛乳 セミハード・ハード
歴史をたどれば12世紀まで遡れる牛飼いが考え出したチーズ。幻のチーズと言われていたこともあるようだが、工場でも製造されるようになり手に入るようになった。口に含むとボロボロと崩れるような食感が面白く。よく焼いたタラコを食べてるようなと説明すれば分かる? 少し酸味があり、香りは強くないが独特。
ミモレット・エクストラヴィエイユ 18+
フランス 牛乳 セミハード・ハード
天然色素のアナトーによって鮮やかなオレンジ色になったチーズ。熟成度合で呼び名が代わり「エクストラヴィエイユ」は18カ月以上熟成された物。若いうちはマイルドなチーズだが熟成が進むと少しずつくせ者化していき、エクストラヴィエイユの食感はまさにカラスミ。ねっとり歯にからまるような食べ心地とナッツに似た香り、そして濃厚なミルクの味を楽しめる。
(中央上)
サント・モール・ド・トゥーレーヌ
フランス 山羊乳 シェーブル
少し太さが違う棒状のチーズでその中央には藁の棒が一本通っている。表面には木炭の粉がかかっている。山羊乳だし、表面は薄汚いしでちょっと手を出しにくい印象だが、シェーブルチーズ入門に最適。山羊乳らしいライトなミルク感とヨーグルトのようなさわやかな酸味を味わえる。木炭の粉は食用なので食べてももちろん問題なし。
(中央下)
ピエール・ロベール
フランス 牛乳 白カビ
牛乳に生クリームをたっぷり加えて作られるトリプルクリームという製法で作られた白カビチーズ。乳脂肪分75%なのだからこれが美味くなかろうはずがない(カロリー高いけどね)。バターを舐めているような食感で少し酸味を残して口の中で蕩けて消えてしまう。美味しすぎるので食べ過ぎ注意かも。
(右上)
ラミ・デュ・シャンベルタン
フランス 牛乳 ウォッシュ
ラミは友という意味なので、シャンベルタンの友。皇帝ナポレオンが愛したワインとして知られているシャンベルタンとともに味わうために作られたチーズ。ワインを絞った後のブドウで作られたマール・ド・ブルゴーニュで表面を洗う。今回食べた物は少し若かったようでウォッシュ特有の臭いはあるがそれほど強烈ではない。中心はまだ芯があったが、それでもミルキー&クリーミーな味わい。
(右下)
サント・モール・ド・トゥーレーヌ・ドゥミ・アフィネ
フランス 山羊乳 シェーブル
「ドゥミ・アフィネ」はほどよく熟成させたという意味。若い物と比較するためにわざと買った。表面の木炭と生地の間が少しトロトロになっていた。食べ比べてみると、若い物に感じた酸味はなくなっており、代わりに山羊乳の味が濃縮されクリーミーさが格段に増す。香りも熟成が進むとナッティーになり、チーズの熟成とはこういうことかっ!と驚かせてくれる。
著者: へた釣り