妻の実家は北海道の釧路。春休みを利用して子供たちが遊びに行った。スキーやワカサギ釣りなどを楽しんできたようだ。お土産に頼んでおいたのが釧路周辺で作られたチーズ。北海道どさんこプラザで入手したきた牛舎のチーズ2種を加えて北海道産限定のチーズプラトーを作った。
初めて釧路に行ったときに車で市街地を少し離れると広大な牧場があり、牛が放牧されているのに驚いた。車中から牛を見つけるたびに「牛だ、牛だ」と喜んでいたのだから、地元の人は馬鹿にしてるの?と感じたかもしれない。車の窓を開けると干し草が少し発酵したような牧場の香りが車中に入ってくる。いい臭いというわけではないが北海道ならではの香りだ。そんな臭いを子供のころから嗅ぎなれている妻からは「臭いから窓閉めて」と言われたが…。根釧地区には牧場が多く大小のチーズ工房もたくさんある。気になるチーズもたくさんあるのだが、このチーズを買ってきてと頼むと子供たち(ということは義父なり義母なり)が指定されたチーズを探すことになるので見つけたのを買ってきてとだけ頼んだ。気になるチーズは夏休みに北海道に行く予定なので自分で探して買おう。
釧路周辺のチーズ生産者で全国区で有名なのが白糠酪恵舎と鶴居村酪楽館だと思う。今回は釧路フィッシャーマンズワーフMOOにあるお土産物屋さんで買ってきたということなので、白糠酪恵舎の物が中心だった。北海道のチーズらしく牛乳の美味しさをまっすぐ伝える物が中心。個性際だったのが「しろかんば」という白カビチーズ。北海道ならではの香りを楽しめる、お好きな人にはたまらない臭いと味だった。
1.モンヴィーゾ
北海道(白糠酪恵舎) 牛乳 セミハード・ハード
イタリア北部のチーズ、ブラ・ドゥーロを手本に作られている直径30センチ、重さ6キロのハードチーズだ。十分に水分が抜けた生地は濃厚な甘みとミルクの香りを口の中いっぱいに広げてくれる。ナッティな香りがあり、余韻として楽しむことができる。味が力強いので薄くスライスしてサラダなどに乗せて食べると絶品だと思う。
2.モッツアレラ
北海道(きた牛舎) 牛乳 パスタフィラータ
モッツアレラは水の中に浮かべるようにして売られている瑞々しい物しか買わないようにしていたのだがしろかんばとセット売りになっていたので真空パックされた物を購入。お餅のような食感はこれはこれでありかも。ミルクの美味しさは十分に感じられるがモッツアレラに期待するミルクが溢れだすフレッシュさはなかった。
3.リコッタ・サルーテ
北海道(白糠酪恵舎) 牛乳 ?
チーズを作る最中に出るホエイを煮つめて作られるのがリコッタ。本来はフレッシュな状態の物を食べるのだが、表面にコショウをまぶして2週間熟成させたのがこれ。ボロリと崩れる生地は少し酸味がありミルクの風味を感じるという程度で味の主役はスパイシーなコショウだ。サンドイッチに挟んだりサラダの乗せると面白そう。
4.しろかんば
北海道(きた牛舎) 牛乳 白カビ
サン・マルセランと同じ製法で作られている。わざわざ「サン・マルセラン風チーズ」と断ってあるのが面白い。熟成が進むと形を保ってられないほどにトロトロになり、スプーンですくって食べる。その味と香りはクセ者!! ミルクの香りを超えて牧場の香りがガツンと広がる。香りが収まるとミルクの優しい甘みが口いっぱいに。もう一度見つけたら迷わずに買う。クセ者チーズ好きなら確実にハマる中毒性のあるチーズだ。
5.テネレッロ・シラリカ
北海道(白糠酪恵舎) 牛乳 セミハード・ハード
モンヴィーゾ同様、北イタリアのチーズであるブラ・テネロを手本に同じ製法で作られている。直径30センチ、重さ約7キロのセミハードチーズで熟成期間は120日以上。生地はもっちりとした食感で素直でクセがない。バランスがよすぎて何が特徴だと掴みにくいチーズだが、そのまま食べてよし、料理に使ってよしの日本人好みの万能チーズだ。
6.スカモルツァ・アフミカータ
北海道(白糠酪恵舎) 牛乳 パスタフィラータ
スモークチーズ好きにはたまらないチーズだ。カードを熱湯で練るパスタフィラータ製法で作られるスカモルツァを山桜のチップで燻製にし2週間以上熟成させた。燻製香がほどよく感じられ、スモークすることで付加されるほんの少しの苦みがチーズの甘味を引き立てる。そのまま食べても十分に美味しいが、スライスして焦げ目を付ける程度に焼けば燻製の香りがより強く感じられる。
7.とろける生カマンベール
北海道(花畑牧場) 牛乳 白カビ
国産のカマンベールの中で熟成させると一番美味しいのではと感じている。味の深みや香りの奥行きでは無殺菌の牛乳から作られるフランス産の白カビチーズには敵わないが、牛乳の旨味と甘みがストレートに感じられ、少しねっとりとした生地の食感は日本人の好みにあっていると思う。野菜室で賞味期限ぎりぎり(個人的には賞味期限を超える)まで熟成させるとミルキーさが爆発するのですぐに食べずに試してみてほしい。
著者: へた釣り