血糖値との戦いが一段落し、どこまで不摂生してもHbA1cが悪化しないかの実験をしている。お酒を呑む頻度も量も増えて、チーズもワインと組み合わせて楽しむようになった。お酒は日本酒党→糖質オフで焼酎派。ワインには明るくない。チーズを楽しむためにワインの勉強を始めてみた。
勉強といっても本を読んで知識を覚えるのは面倒だし、味に関しては文字から伝わってくるとも思えないので、いろんな国の安いワインを買ってきて、飲んでみることにした。予算的には1本1500円くらいまでにしているので、そんなのでワインの勉強になるの?と言われそうだが、ブドウの品種ごとの味の特徴くらいはなんとなく分かるようになった。チーズと合わせるときの基本は味が濃厚な物(ウォッシュやハード)には重口と書いてある赤ワイン(カルベネ・ソーヴィニヨンやメルローなど)。フレッシュチーズや白カビ、シェーブルには辛口の白ワイン(シャルドネ)が合う。白カビでも熟成させてトロトロにした物は赤ワインの方が合う? 塩味が強い青カビには甘い白ワイン(ドイツの?)がよさそう。といってもそう何本も買ってられないので、ピノ・ロワールがどのチーズにでも合う気がしてお気に入り。
ミラベラは西洋すもものブランデーで表皮を洗ったウォッシュチーズ。カマンベールにはリンゴのブランデー、カルバドスを表皮に塗って熟成された物があり、今回始めて食べた。日本でも日本酒や梅酒でウォッシュしたチーズが存在するのだがまだ実物は見たことがないし、当然食べる機会に恵まれていない。
1.ミラベラ
フランス 牛乳 ウォッシュ
ウォッシュらしい香りがたまらない。ミラベルという西洋すももから作られるブランデーで表面を洗いながら熟成されるチーズで、表皮はべたべたしているので剥いで食べる。生地はお餅のような弾力がありミルキー。口の中で牛乳の甘みがふわっと広がる。余韻にブランデー由来の甘酸っぱいような苦いような味が残るのが特徴。
2.カマンベール・ブランデー熟成
フランス 牛乳 白カビ
カマンベールはノルマンディ地方で作られるが、カルバドスというリンゴのブランデーの産地でもある。カマンベールを熟成させるときにカルバドスで表面を湿らせ香りを移してある。ねっとりと濃厚なカマンベールを味わっていると、お酒の香りが鼻へと抜ける大人のチーズになっている。強いお酒が苦手な人は表皮を剥いでから。
3.ブル・ディ・カプラ
イタリア 混乳(牛乳、山羊乳) 青カビ
ミルクの甘み、塩味、青カビの刺激をバランスよく楽しめる。牛乳と山羊乳の混乳から作られている生地はクリ―ミーで甘く、少し酸味もある。塩味はその甘みを引き立てる。最初、甘みを強く感じるので青カビの刺激は控えめ?という印象を受けるが、甘みが引いていくとしっかりとした青カビの刺激がやってくる。
4.ペコリーノ・トスカーノ
イタリア 羊乳 セミハード・ハード
ペコリーノはイタリア語で羊乳で作られたチーズのこと。トスカーノはワインやオリーブの産地として知られるトスカーナ地方のこと。やや白っぽい生地は羊乳らしい甘みと酸味があり、口の中で溶けるのを楽しんでいると、ミルクのコクが少し遅れてやってくる。塩味は以前食べたことのあるペコリーノ・ロマーノに比べると格段に穏やか。
5.パヴェ・オ・エルブ
フランス 山羊乳 シェーブル
エストラゴンというハーブがたっぷりまぶしてある四角いフレッシュチーズ。山羊乳に生クリームを加えて作られる生地は真っ白で山羊乳らしい爽やかな酸味がありチーズというよりヨーグルトのような味わい。山羊乳のクセのある香りはハーブによって打ち消されており、山羊乳は苦手という人でも食べやすくなっているかも。
6.クアルティローロ・ロンバルド
イタリア 牛乳 ウォッシュ
クアルティローロは秋に行われるその年最後(4回目)の刈り入れのことでその牧草を食べた牛の乳で作られていたが、今では年中作られるようになったようだ。少し酸味がありさわやかな味は秋よりも春っぽい。少し黄味かかった生地は少しシャリっとした食感でヨーグルトにも似た香りとミルクのコクをしっかり感じることができる。
7.カンタル・アントル・ドゥ
フランス 牛乳 セミハード・ハード
2000年以上の歴史があるという40キロ級の大型のチーズで90日以上熟成された物を「アントル・ドゥ」と呼ぶ。乾いた表皮はゴツゴツと武骨な感じだが、生地はナッティで繊細な味わい。口の中でもろく崩れ濃厚なミルクの香りが広がり、苦みを後味に残して溶けて消えて行くチーズらしいチーズだ。赤ワインと合いそうなお味。
著者: へた釣り