いいことがあったらワインを飲む。カワハギ釣り大会で無冠ながらも好成績だったので、大好きなワインを開けた。1500円で買える赤ワインで最も気に入っているDom. de Bournet Cuvee Notre Dame des Songes 2005だ。週末のお楽しみのチーズとともに一人でささやかな祝杯をあげる。
赤ワインは肉、白ワインは魚介に合わせると思い込んでいたので、牛や羊、山羊の乳から作られるチーズは赤ワインなのかなと考えていた。実際に組み合わせてみると口の中をさっぱりさせる白ワインの方が相性がよさそうなチーズが多いことに気付く。ミルクの味を濃厚に感じるチーズと辛口の白ワイン、特に樽で熟成させた物の組み合わせは最高だ。でも、ワインは赤ワインの方が好きだ。赤ワインに合うチーズはというと、熟成が進んだクセ者チーズのことが多い。Notre Dame des Songesはどっしりフルボディでタンニンも強い。シラーが入っているのでスパイシーさもある。大好物のクセ者チーズと口の中で戦わせるのが楽しいワインだ。
新しいチーズとの出会いは減っているが、このチーズセットならあのワインに合うかもなんて風に想像力を働かせて、選ぶのが面白くなってきている。赤ワインに合いそうなチーズがたくさん入ってそうなセットを選んでみた。買ったのは釣り大会前日だ。祝杯をあげる自信があったかというとそうではなく、ダメなら残念会をしてただけw
1.ポン・レヴェック・レ・クリュ
フランス 牛乳 ウォッシュ
ノルマンディ地方でカマンベール以前から作られていたチーズの1つで四角い形をしている。弾力のある食感と素直なミルクの味を楽しめるチーズで無殺菌乳で作られる物が特に美味しい。ウォッシュといっても香りは穏やかで極めて食べやすい。それでいてミルクのコクを濃厚に感じられるのだからウォッシュチーズ入門に最適。
2.ブラン・デュ・マキ
フランス 羊乳 セミハード・ハード
イタリアはコルシカ島で作られている。コルシカ島には人口の5倍の羊が飼われておりチーズの生産が盛んな地域である。羊製のチーズの表面にローズマリー、セイボリー、フェンネル、ジュニパー、赤唐辛子がまぶしてある。羊乳らしいコクと甘みがまず感じられ、続いてハーブの香りが口の中に広がる。スプマンテに合いそう。
3.パヴェ・ダフィノア
フランス 牛乳 白カビ
パヴェは石畳の意味で、直方体のチーズだ。比較的よく売られているのを目にするチーズではあるが熟成した物がカスタードクリームのように美味しいとされていたので食べてみたかった。トロリと熟成済みの物を見て迷わず購入。濃厚なミルクの味がして絶品だ。直方体の上部を剥がして1個丸々食べてみたくなるチーズである。
4.サント・モール・ブラン
フランス 山羊乳 シェーブル
円筒状に型を整え中央に藁を1本通すとこまでは同じ作り方だが、トゥーレーヌが木炭をまぶして熟成されるのに対して、ブランはそのまま熟成される。その違いが味にはっきり表れるのだから面白い。ブランは山羊乳の酸味が強くフレッシュな味わいの春のさわやかさを表現したかのようなチーズ。もう少し熟成させても面白いそう。
5.ミモレット・エクストラヴィエイユ 18+
フランス 牛乳 セミハード・ハード
天然色素のアナトーによって鮮やかなオレンジ色になる。「エクストラヴィエイユ」は18カ月以上熟成された物。若いうちはマイルドなチーズだが熟成が進むと少しずつくせ者化していき、エクストラヴィエイユの食感はまさにカラスミ。ねっとり歯にからまるような食べ心地とナッツに似た香り、そして濃厚なミルクの味を楽しめる。
6.ペコリーノ・サルド・マトゥーロ
イタリア 羊乳 セミハード・ハード
サルデーニャ島で作られる羊乳のチーズでマトゥーロは熟成期間が2カ月以上の物のこと。表面にオリーブオイルを塗って熟成される。塩はやや強くパサシャリとした生地が口の中でほぐれると羊乳の甘さとコクが襲ってくる。と同時に野趣あふれる香りをしっかり感じる。羊乳のチーズは濃厚で美味しいってことを実感できるはずだ。
7.フルム・ド・モンブリゾン
フランス 牛乳 青カビ
フランス中部の山岳地帯オーヴェルニュ地方で作られている青カビチーズでかつてはフルム・ダンベールと同一視されていた。フルム・ド・モンブリゾンは杉の木の棚で熟成させるため表皮がオレンジ色になり、まろやかで甘みのある味わいの中にミルクのコクが余韻として広がる。青カビの刺激は控えめでほのかに苦みがある。
著者: へた釣り