麺に関してはラーメンもうどんも食べたいと言う欲求を覚えることはないがそばだけは例外。もともと毎昼食はそばを食べていたというくらいのそば好きである。いまだにそばを食ってる夢を見る。大晦日は年に1日だけのそばの解禁日。白金台・利庵でとびっきり美味いそばを食べてきた。
プラチナ通りを登り切るほんの少し手前に店はある。古民家風といえば聞こえはいいが、白金台という場所にはふさわしくないボロ家である。普段から昼夜を問わずよく客が入っているお店だが、大晦日には大行列ができる。普段は11時半開店だが、用意ができ次第開店となるようで、11時ごろに店につくと既にお店はやっており行列ができていた。22席しかないお店なので1時間くらい待つことになった。それでも、誰ひとりとして並ぶのを諦めて帰ろうとはしない。周りから聞こえてくる会話から推測するに年越しそばは利庵のそばでなくてはと決めている人が相当数いる様子だ。
そば屋で定番メニューといえば、まずは出汁巻き玉子。出汁も玉子もたっぷりと使われており、優しい甘さとふわりとした食感がうれしい。添えられている醤油がかかった大根おろしはピリッと辛く。出汁巻き玉子を一口食べたら、大根おろしを少し食べて口の中を甘みに慣れさせずにリセットするという食べ方がオススメだ。1人前は4切れとボリュームもあり、これだけでお酒を2合くらいはいけちゃいそう。
子供たちはあなご天そばと鴨なんばんを注文した。天ぷらが美味しいのは知ってるが…そばに加えて天ぷらで糖質を摂るわけにはいかないので我慢。鴨も旨みが抜群なのだが残ったお出汁を飲ませてもらうことにして、カロリーオフなせいろう(利庵ではせいろではなくせいろう)を頼む。
普段は柚子切りなどの変わりそばも提供しているが、大晦日の営業は普通のそばのみ。そば殻がところどころに黒く残っている。そのせいでそばの表面がザラリとしておりつけ汁が少量でもよくからむ。少し硬めと感じるかもしれないがのど越しを楽しむ系のそばだ。つけ汁は少し甘めで薬味はわさびとネギ。盛りはやや少なめだが某有名店のように3枚必要というほどではない。2枚頼むとちょうどいい。そば湯の最後の1滴まで年に一度のそば道楽を堪能する。
利庵には美味い物がもう1つ。わらび餅である。でんぷんの塊にきなこと黒蜜がたっぷりかかっているので糖質オフ道楽には全く適さないが、子供たちが頼んだので、黒蜜が付いてないところをちょっとだけ分けてもらった。ぽよ~んとした食感が最高だ。もう1口ちょうだいと言いかけた言葉をぐっと飲み込む。
著者: へた釣り