どのチーズの本を読んでもフレッシュチーズは鮮度が命で出来たてが一番と書いてある。北海道でなら可能性はあっても東京じゃねと諦めていたら、東京にもチーズ工房があった。それも渋谷に。「本日のお昼に出来た物」と供されたモッツァレラとリコッタのあまりに美味しさに心が震える。
渋谷から向かうならセンター街を通って井の頭通りをトコトコ歩く。東急ハンズを越え、NHKの建物を右手に見ながらさらに進んでいくとSHIBUYA CHEESE STAND(渋谷 チーズスタンド)がある。広いお店ではない。2人掛けのテーブル席が3つとカウンターがあるだけの小さな店構え。カウンターの中が工房になっており、何種類かのフレッシュチーズが作られている。東京近郊から毎朝届く牛乳を原料にモッツァレラ、リコッタ、ブッラータ、カチョカヴァッロなどのチーズが作られている。夜のメニューにはカチョッタやリコッタ・サラータなど熟成チーズの名も。
お店の看板メニューは「出来たてモッツァレラ&リコッタ」。初めてのお客様は是非こちらをと勧められていたので素直に従うことにする。チーズを作るときにでるホエイ(乳清)を飲むこともできるので気にはなったが、乳糖を多く含んでいたはずなので我慢する。ほかにもピザやサンドイッチなどのメニューがある。飲み物は紅茶を選んだ。
木のお皿に2種のフレッシュチーズが盛られて運ばれてくる。「本日のお昼に出来た物です」という説明がある。ポットに入って添えられているのはオリーブオイルとハチミツ。モッツァレラにはオリーブオイル、リコッタにハチミツをということだと思うが、ハチミツは食べられないので両方オリーブオイルでいただくことに。モッツァレラのモキュモキュと歯を弾くような食感が実に心地よい。噛み砕くのが惜しいのでゆっくり口の中で転がして楽しむ。牛乳がしみだしてくるように感じる。
リコッタは少しボソボソとしたおぼろ豆腐のような食感を味わう。ほのかにミルキーではあるがモッツァレラに比べるとインパクトに乏しいのでハチミツをかけてデザート感覚で楽しみたかったとちょっぴり残念。今度お店に行くときは液体のラカントSを持って行こうと決める。提供された物以外の食材を使うのはあまり行儀がよいことではないだろうが、糖質を抑えるためと説明すれば許してもらえると思う。
著者: へた釣り