チーズと決めたらチーズばかり食うのをフードファディズムと言うんだと面罵されたが、気にしない。食生活を改めたことで血糖値が下がり体の不調は治まっているわけで……ファディズム呼ばわりされるのは心外である。ところでチーズはアルツハイマー病の予防にも有効って知ってた?
ファディズムは「のめり込み」の意味で、チーズや納豆にハマり糖質を制限している糖質オフ道楽はフードファディズムに違いない。道楽は、とある道にのめり込んで楽しむ物である。ただ、フードファディズムなんて言葉を使う人の勧めるバランスの取れた食事が摂取カロリーの少なくとも1/3は米を中心とした炭水化物で摂るべきという内容なのだから、それはそれでフードファディズムなのではないかと……。ただし、こちらは道楽ではない。学会だの派閥(出身大学)だののしがらみであるらしい。彼らのよく使う言葉がエビデンス。科学的に立証されていないってことをなぜか根拠とか証拠とは言わずにカタカナで言ってくる。チーズは老後のボケ防止、アルツハイマー病の予防にも有効だという。特にカマンベールなどの白カビチーズに多く含まれるオレイン酸アミドにはアルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβを減らす効用があるとの論文がある。これならチーズ道楽は体にいいってエビデンスになる?
チーズがボケ防止にいいということはもっと分かりやすく実感している。フェルミエ渋谷店で買う7種のチーズセット。どれを食べたことがあり、どれが未知のチーズかを袋越しに確定しなくてはならない。食べたことのあるチーズの外見を記憶しておく必要があり、どのチーズならもう一度食べたいか、味を覚えておけば一番好みのチーズの組み合わせを探しあてられる。美味しいチーズを食べるには記憶力を衰えさせてはいけない。そのためにもチーズを食べ続けないと…あれ?
1.トム・ド・ラカイユ・オ・ブルー
フランス 牛乳 青カビ
トムなので少し小ぶりのチーズだ。さまざまな色のカビに覆われた生地は少し水分多めで熟成の進んだ白カビチーズのようなトロトロとした食感を楽しめる。ミルクの味は濃厚でバターを舐めているような甘みを感じることができる。青カビの刺激は控えだ。青カビの風味を少し感じるという程度なので食べやすい。
2.パルミジャーノ・レッジャーノ
イタリア 牛乳 セミハード・ハード
説明不要?なイタリア産チーズの王様。パメザンチーズって呼び方の方が日本では通りがいい。短い物でも18カ月、長い物だと5年以上熟成されるので水分が抜け切って超硬質でじゃりじゃりな食感。噛めば噛むほどに旨味が出る。ナッティで甘い香りを楽しめる。かちわり状にして食べるのが一番美味しいと思う。
3.カマンベール・ド・ノルマンディー
フランス 牛乳 白カビ
言わずと知れた白カビチーズの雄。こんなに美味しい物がアルツハイマー病の予防にも効果的となるともう無敵である。無殺菌乳で作られたカマンベール・ド・ノルマンディーのトロトロ熟成も期待を裏切らない。苦みと旨味、クセとミルキーさのせめぎ合いが口の中で巻き起る。熟成が若い殺菌乳のカマンベールとは全くの別物だ。
4.ヴァランセ
フランス 山羊乳 シェーブル
元々はピラミッドに似た四角錐だったらしいのだが、エジプト遠征に失敗したナポレオンがムカついて天辺部分を切り落としたという逸話のあるチーズ。木炭粉とカビに覆われた外皮周辺はトロリと甘味があり濃厚。白い生地の内部は山羊乳らしい酸味がありさっぱりとした味わい。山羊乳チーズはどれも美味しい!!
5.カブラレス
スペイン 混乳(牛乳、山羊乳、羊乳) 青カビ
スペイン北部のピコス・デ・エウロパ連山にある3つの村でだけ作られているという幻のブルーチーズ。無殺菌の牛乳に季節によって山羊乳や羊乳が混ぜられ洞窟の中で熟成される。青カビは熟成中に自然に発生する。塩味が強めでボロボロと崩れる。青カビの刺激もピリッと強く個性派の青カビチーズだった。
6.ビーコンフェル・トラディッショナル・ランカシャー
イギリス 牛乳 セミハード・ハード
舌をかみそうな名前だがイギリス北西部のランカシャー州ビーコンフェルの伝統的なチーズってこと。一軒の農家が所有する牛が少なく1回の搾乳でチーズを製造できなかったころの、当日と前日のカードを混ぜて作るという製法を守っているチェダーチーズだ。甘みが強く牛乳の美味しさをストレートに感じることができる。
7.ポン・レヴェック・レ・クリュ
フランス 牛乳 ウォッシュ
ノルマンディ地方でカマンベール以前から作られていたチーズの1つで四角い形をしている。弾力のある食感と素直なミルクの味を楽しめるチーズで無殺菌乳で作られる物が特に美味しい。ウォッシュといっても香りは穏やかで極めて食べやすい。それでいてミルクのコクを濃厚に感じられるのだからウォッシュチーズ入門に最適。
著者: へた釣り