昔の仕事仲間から久しぶりに一杯どう?と誘われる。パワフルな感じの男(おっさん)呑みを企画すると気になる店が数カ月前にオープンしていた。恵比寿のヤミツキヤという店だ。すべての料理はにんにくかしょうがで味付けされている。夏バテ防止にどうよと打診すると二つ返事でOK。
雑誌編集者をやっていたころ編集長とアートディレクターという関係だったので、仕事中はよく喧嘩をしたし、仕事が一段落すると仲よく飲みに行った。現在はウェブの制作デザイン会社を経営されている。この前飲んだのは2年前なので糖尿病が発覚する以前。激やせしたへた釣りの姿はまだ知らないはずなので驚かしてやろうと、わざと人が多い場所で待ち合わせ。相手はあまり変わってなかったのですぐに分かった。ニヤニヤしながら見ていると何度か目が合う。なのに向こうはこちらに気付かない。待ち合わせの時間が過ぎ、しきりに時計を気にしている姿を見るとさすがに気の毒になってこちらから声をかけた。第一声が「癌じゃないですよね?」だったのだから、相変わらず素っ頓狂なおっさんである。癌だったら残された時間でお前と酒なんて飲みに来ねぇよ。
お店は恵比寿駅近く駒沢通り沿いにあるケンタッキーの筋を入った先にある。雑居ビルの3階だ。オープンからまだ3カ月経ってないのでお店の中はきれいで、個室に区切るための間仕切りがあちこちに配置されている。にんにく、しょうがでおっさん向けとイメージしたがこれは完全な見当外れだった。女性客の姿もちらほら。お値段は普通の居酒屋価格で焼酎の水割り(さつま司)を頼むと390円。ただし、中ジョッキに入って運ばれてくるので割安感はある。お通しにキャベツ。オカワリ自由なのがうれしい。ドレッシングは2種類ありこれまたにんにく味としょうが味なのだから徹底している。
本日のテーマは男呑みなのでがっつりいく。とはいえ最初から肉というお年頃ではない。まずはエビとアボカドの生春巻き にんにくマヨネーズソース。続いて枝豆ピリ辛にんにくバター醤油焼き。この枝豆は面白い。皮ごと鷹の爪入りのにんにくバターで炒めてある。そのまま口に入れてピリ辛にんにくバター味を楽しみその味が消えないうちに豆を絞り出すと、枝豆の甘さが感じられて面白い。手が著しく汚れるのが欠点だが、男呑みなので気にしないことに。モチモチ焼餃子はソースにも具にもにんにく&しょうががしっかり効いていてヤミツキヤならではの味わいだった。
肉は佐賀牛推しだったので何品か頼んでみる。極上佐賀牛たっぷりの麻婆豆腐はピリ辛でまずまず。ただしミンチでは極上佐賀牛のよさは測れず。ならばと極上佐賀牛のすき焼き風肉豆腐を頼む。赤身にしっかりと味がある柔らかいお肉だった。
本日のメインの皿はトンテキ(200g) ガーリックチーズマッシュポテト。糖質オフ道楽で豚肉の美味しさに目覚めたので、大いに期待していたメニューだ。店の看板メニューの1つでもある。にんにくとともにしっかり焼かれており、厚みがあるので満足感あり。少し甘めのソースのおかげで単調になりがちな大きな肉も苦にならない。残ったソースはマッシュポテトにからめて食べるとこれまた美味だった。
ここいらでさすがにお腹いっぱい。ところでにんにくはいっぱい食べたけどしょうがは?と食べたメニューを思い起こすと…頼んだ料理がにんにくに寄りすぎている。にんにくとしょうがのお店で一方は食べたっけ?という状態で帰るのは惜しい。帳尻合わせのように最後に紅しょうがの天ぷらを頼む。大阪出身なので紅しょうがの串揚げとか天ぷらは大好きだ。
著者: へた釣り