北海道でいっぱい買いこんできたチーズを食べるのに忙しくてしばらく買いに行っていなかったがフェルミエ渋谷店のチーズセットを買ってきた。自分でチーズの情報を調べて探しあてるのも楽しいが、偶発的な出会いが楽しめるのがチーズセットのよいところ。やっぱり毎週買に行こう。
偶発的な出会いの機会はインターネットの普及によって奪われているのではないかと思っている。例えば、本を買う時。本屋に行って本棚を左上からざっと見まわす。気になる本があったら手にとって中味を確認。何冊かに購入候補を絞って、最後は予算が許す限りの本を買う。知らない著者の本もあれば、これまで興味関心を払ってこなかったジャンルの本を手にすることもあった。本との偶発的な出会いが本屋にはあった。これがネットで注文となると様子が違ってくる。検索ワードは知っている著者やジャンルになる。オススメの本を勧めてくれる機能もあるが……所詮は購入履歴の類似本であって予期せぬ本との出会いはない。道楽するならネットに頼らずが正解なのかも?
久しぶり、といっても3週間ぶりに購入したせいだろうか? それとも季節が夏から秋へと移り変わっているからだろうか? チーズセットに入っていた7個のうち5個がこれまで食べたことがないチーズだった。そろそろ未知のチーズは少なくなってきたと思っていたのでビックリしたし、ものすごく得した気分だったりする。
1.ベルクケーゼ
オーストラリア 牛乳 セミハード・ハード
ベルクケーゼは山のチーズという意味で、ドイツ・バイエルン州のアルプスの山小屋で作られるアルゴイヤー・ベルクケーゼがその代表。今回のはオーストラリア産のベルクケーゼだ。ナッティな香りがしミルクのコクが凝縮されており食べやすい。もともとはスイスから製法がドイツに伝わり、ドイツからオーストラリアへ?
2.マニゴディーン
フランス 牛乳 ウォッシュ
モンブランの麓のマニゴという村で作られている、数年前に生まれた新しいチーズだ。アルプスで放牧された牛の無殺菌乳から作られ農家で1週間熟成され出荷されてのち、さらに熟成士によって表面を洗いながら熟成が進められる。味わいはライトでママの味系なのでウォッシュだからと身構えなくても気軽に楽しめる。
3.シャープハム・チャイブ&ガーリック
イギリス 牛乳 白カビ
ニンニクと香辛料を混ぜたチーズはフランスのガプロンを食べたことがあるが、シャープハムはイギリス製の同種のチーズでニンニクとチャイブ(西洋アサツキ)が生地に混ぜらている。しっかりしている生地を口に運ぶとニンニクとチャイブの風味が感じられ、遅れてミルクの甘みがやってくる。チャイブの風味を探すのが楽しい。
4.オベハ・アル・ロメロ
スペイン 羊乳 セミハード・ハード
オベハはスぺイン語で羊乳の意味、ロメロはローズマリーのこと。羊乳で作ったチーズの周りにびっしりとローズマリーをまぶして3カ月間熟成させたチーズだ。ローズマリーの味と香りが生地にも浸透しており、爽やかな味わいに草木の芽吹きを感じさせるローズマリーの刺激が加わって春を連想させるチーズになっていて面白い。
5.プティ・ベルトー
フランス 牛乳 ウォッシュ
マール・ド・ブルゴーニュで洗われて熟成が進められた表皮は濃いオレンジ色になり、お好きな人にはたまらない、お好きじゃない人なら顔をしかめる香りを放つ。表皮を剥ぐとトロリと蕩けた生地が現れ、そのお味はというととにかく濃厚、濃密、超ミルキー。1個60グラムの小さなチーズなので一人占めして食べたくなる。
6.トピネット
フランス 山羊乳 シェーブル
トピネットはフランス語でモグラ塚のことで、アニメなどでお馴染みのモグラが顔を出すこんもりとした土の隆起に似た形をしたチーズだ。無殺菌の山羊乳から作られたチーズらしい酸味と優しくおだやかなミルクの味をしっかり感じることができる。余韻のように残るミルクの香りまでたまらない絶品チーズだ。
7.ジャーヴォー・ブルー
イギリス 牛乳 青カビ
イギリスに伝わる伝統的なチーズの製法であるヨークシャー・ウェンズリーデイルと同じ製法で作られている青カビチーズ。ねっとりとした濃い黄色の生地はなかなかに複雑な味わいで単なる牛乳のコクや旨み以上の深みを感じる。生地自体の味が複雑なせいか青カビの刺激はスティルトンに比べると控えめのように感じる。
著者: へた釣り