実はスパークリングワインを含む発泡系のお酒はあまり好きでなかった。ビールもシャンパンも乾杯用で食中酒には向いてないとさえ思っていたが、チーズを食事の主役に据えるとスパークリングワインは相性がよいと気付く。特にねっとり濃厚白カビチーズやシェーブルとは相性抜群。
昨日は上州屋のカワハギ大会に参加した。参加するからには優勝する気である。祝杯用にとクリスマスのときくらいにしか買わないスパークリングワインを買ってみた。お祝いだったらシャンパンがいいのだろうが、泡白と呼ばれる白スパークリングの中でシャンパンだけは別格扱いでお値段の方も破格なので、おいそれとは手が出ない。フレシネ・コルドン・ネグロ・ブリュットというスペインの辛口のカヴァを買う。これなら1000円くらいで手に入る。しっかり泡が入っており、口当たりも軽く爽やかな飲み心地。大会では惨敗し祝杯とはならず残念会となったが、釣りなんていい日もあれば悪い日もある。大好物のチーズとスパークリングワインでダメダメだったことを楽しんだ1日を締めくくる。
スパークリングワインに合いそうな濃厚な味のチーズが入ってそうなセットを選んだ。カマンベールとガレ・ド・ラ・ロワールは一目見てトロトロに熟成しており生地が流れ出ている状態だった。ヴィエホ・マエストロは初めて食べたが、期待していた2つに負けないくらいに濃密な味わいの山羊乳製白カビチーズだった。こちらも熟成具合がちょうどよかった。
1.ブリナータ
イタリア 羊乳 白カビ
ブリナータはイタリア語で「霜がおりる」という意味で、その名の通り真っ白できれいな白カビに覆われている。モッッアレラにも似たモキュっとした食感の生地はほんのり甘く羊乳らしい上品なミルクのコクを味わえる。塩味はほとんどないので子供のオヤツなどにも最高のチーズだ。熟成させると茶色くなり、コクも増すらしい。
2.ゴルゴンゾーラ・ドルチェ
イタリア 牛乳 青カビ
三大青カビチーズの1つに数えられるゴルゴンゾーラにはピカンテとドルチェがある。ピカンテは青カビの刺激強め。ドルチェは青カビ控えめ。イタリアでもドルチェの方が主流になっているそうだ。ミルクの甘み、青カビの刺激、少し強めの塩加減がうまく調和しており、バランスがよく食べやすい。ピカンテとは別物と考えよう。
3.カマンベール・パストリゼ
フランス 牛乳 白カビ
元祖カマンベール・ド・ノルマンディは無殺菌乳で作られるため風味も味わいも強いが、殺菌乳で作られるカマンベールはマイルドでクリーミィな味わいになる。白カビチーズを食べ慣れてくるとインパクト不足で物足りないと感じるが、適切な熟成を経た物は生地がトロトロに蕩け出し、濃厚なミルクの味を安心して楽しめる。
4.ガレ・ド・ラ・ロワール
フランス 牛乳 ウォッシュ
ウォッシュチーズなのに見た目は白カビチーズ。トロトロになった生地はまるで生クリームを舐めているかのようなミルキーさ。ウォシュではあるが水で洗っているだけのためウォッシュ特有の香りはほとんどせず、ミルクの旨味を濃縮した味。一口食べるとミルキ~はママの味~♪と歌いたくなると説明するとどんな味か伝わる?
5.ヴィエホ・マエストロ
スペイン 山羊乳 白カビ・シェ―ブル
表面は麦わら色をしており一見ウォッシュのように見えるが山羊乳から作られた白カビチーズ。内部はトロトロに熟成しており、酸味はほのかに残っているかな?という感じで、濃密な山羊乳の甘みと香り、塩気がしっかりと口の中に広がる。同じスペインのカヴァとの相性は抜群だった。重口の赤ワインとも合いそうな気がする。
6.セル・シュール・シェール
フランス 山羊 シェーブル
パリ南西部を流れるロワール川の流域で生まれた歴史あるチーズだ。表面にはポプラの木炭粉がまぶされており熟成にともなって乾いてグレー色になってくる。山羊乳らしい純白の生地は水分が抜け濃厚な山羊乳のコクを味わえる。熟成具合がちょうどよかったのか酸味はほとんど感じられず甘味と塩味のバランスが絶妙だった。
7.ホワイト・スティルトン・ブルーベリー
イギリス 牛乳 その他
スティルトンといえば世界三大青カビチーズだが、ホワイト・スティルトンは全くの別物。少し黄味がかった生地は口の中でほろほろと崩れる食感でチーズというよりはケーキを食べている感覚に近い。甘みのあるブルーベリーが練り込まれており生地にもその甘みが移っているので糖質少なめのデザートに最高のチーズだ。
著者: へた釣り