牛乳やヨーグルトを摂るとお腹の具合が悪くなる人、身の周りにも結構いる。そんな人とチーズの話をすると、「乳製品はちょっと」という風な反応が返ってくる。チーズには乳製品でお腹が緩くなる原因である乳糖(ラクトース)は含まれていない。糖質量が牛乳に比べ低いのはそのせい。
ラクトースは母乳にも含まれているので生まれつきラクトースを摂取するとお腹がゆるくなるという人は少ない。離乳後、乳製品を摂取する習慣がなくなると、小腸の粘膜にあるラクトース分解酵素の働きが悪くなっていき、ラクトースを小腸から吸収できずお腹を下すようになる。日本人の約40%に牛乳を飲むとお腹が緩くなるという自覚があるようだ。チーズの場合、製造過程で水分を抜く作業が行われ、そのときでる水分(ホエー)にラクトースのほとんどが移ってしまうため、チーズを食べてお腹が緩くなることはない。健康のため乳製品は摂りたいけど…って人はチーズを食べよう♪
ヴィニュロン・ド・マルシェ・トリュフというマンステールという臭いが強烈なウォッシュチーズにトリュフクリームを挟んだ物をお目当てにこのセットを買った。トリュフといえどもマンステールの臭いの前にはその存在感を示せないんじゃないの?と思っていたが、トリュフの香りが楽しめてビックリ。
1.カンタル・アントル・ドゥ
フランス 牛乳 セミハード・ハード2000年以上の歴史があるという40キロ級の大型のチーズで90日以上熟成された物を「アントル・ドゥ」と呼ぶ。乾いた表皮はゴツゴツと武骨な感じだが、生地はナッティで繊細な味わい。口の中でもろく崩れ濃厚なミルクの香りが広がり、苦みを後味に残して溶けて消えて行く。重口の赤ワインと合いそうなしっかりしたお味。
2.ブッシュ・ド・ルッセ
フランス 山羊乳 白カビ・シェーブル白カビに表面を覆われた山羊乳のチーズで白カビチーズの優しい味わいとシェーブルらしい爽やかさを両方楽しめる。部分によって熟成具合が違い、中心部の白い生地の部分は酸味と甘みが感じられ表皮に近い部分はドロリと蕩け白カビチーズらしい濃厚なミルクの甘みを感じる。表皮には少しキノコっぽい味と香りがある。
3.ラクレット・レクリュ
スイス 牛乳 セミハード・ハードアルプスの少女ハイジで暖炉にかざして溶けた表面を削り取り食べていたのがこのチーズ。溶かして茹でたジャガイモなどにかけて食べられることが多いが今回はそのまま食べてみた。ナッティな風味があり、もっちり柔らかい生地はミルクの甘味がしっかり残っており、このまま食べても十分に楽しめる。レクリュは無殺菌乳のこと。
4.フルム・ダンベール・オ・レクリュ
フランス 牛乳 青カビロックフォールと並ぶフランスを代表する青カビチーズだ。ロックフォールが羊乳から作られるのに対して、こちらは牛乳から作られる。生地に広がる青カビは多めで、刺激をしっかりと味わえる。ピリッとした刺激のあとに牛乳の穏やかな甘みが口の中に広がる。崩れにくいのでサラダに入れたりハチミツに絡めたりしても楽しめる。
5.ヴィニュロン・ド・マルシェ・トリュフ
フランス 牛乳 ウォッシュオレンジ色の表皮に包まれたウォッシュチーズ、マンステールにトリュフクリームを挟んだ物。トリュフの香りがウォッシュチーズの香りに負けてしまうんじゃと思っていたがトリュフをちゃんと楽しめる。マンステールのミルキーさとトリュフクリームの相性はよく、ブリ・ド・モーやブリア・サヴァランのトリュフ入りより美味しい気が…。
6.ブリ・ド・ムラン
フランス 牛乳 白カビブリ三兄弟の中で、というより白カビチーズの中で最も男性的で野趣あふれる味わいのムラン。白カビ部はキノコやマッシュルームのようなと言われる香りが強烈だ。生地は塩味が少し強めでミルクの濃厚かつ力強い風味とコクを楽しむことができる。熟成が進めば進むほどクセ者感が半端なく出てくる、実に楽しいチーズである。
著者: へた釣り