週末の楽しみは釣りとワインとチーズ。自然を相手にする釣りはうまくいくこともあれば、どうにもならないときもある。どうにもならないから釣りが嫌いになるということはない。むしろどうにもならない無念さにハマる。今週は反省会だ。すっきりしたリースリングで残念な気持ちを洗い流す。
東京湾で一番盛大なカワハギ釣りのイベント、TKB 1DAYバトルに参加してきた。釣り上げたカワハギ3匹の合計長を競う大会で、あと1匹特大サイズ(30センチ超え)が釣れればほとんどの人が入賞できる可能性があるという最後の最後まで勝負の行方が分からない熱い戦いになる。あと1匹を目指して終了の合図が鳴るまで集中力を切らさず釣り続ける。あと1匹を手にした者はほんの一握りで、ほとんどの人はその1匹を手にできず肩を落とす。幸運な数人にはなれなかった。
反省会のお供はオーストラリア産のアート‘n’ソウル・リースリングという白ワイン。オーストラリアなのにシラーズでもシャルドネでもなくあえてリースリングという臍の曲がったチョイスで、アート(技術)&ソウル(魂)というネーミングが釣りの反省会にぴったり? 来年こそはあと1匹を釣ってみせる!
辛口に仕上げられたリースリングは酸味もありフルーティなのでそのすっきりとした味わいはチーズにぴったりなのではと思っていたが、思った通りだった。特にクーロンヌ・ロッシュワーズやケソ・デ・バルデオンなどの山羊乳から作られたチーズとの相性は抜群なのではないかと思う。
1.槲(かしわ)
日本(北海道) 牛乳 セミハード・ハード少しシャリとした食感のある生地はミルクの旨味とコクが濃縮されており、ナッティな香りもある。しっかりした味わいのチーズなので赤ワインにも合いそうだ。北海道の牧場の新鮮な牛乳から作られ4カ月以上熟成されて出荷される。加熱して料理に使ったり粉チーズにするのもありと勧められているが、はっきり書くともったいない。
2.ブリ・ド・モー
フランス 牛乳 白カビフランスを代表する白カビチーズで「チーズの王様」と称される。無殺菌の牛乳から作られるためコクがあり熟れたミルクの香りが強い。ブリはスーパーなどでも売られているが、熟成したブリ・ド・モーは全くの別物といってよい。トロトロに蕩けた生地は濃密なミルクの味がし、茶色く変色した白カビはマッシュルームのような風味。
3.ケソ・デ・バルデオン
スペイン 混乳(牛乳・山羊乳) 青カビ塩漬けされたカエデの葉に包まれた青カビチーズ。牛乳と山羊乳の混乳から作られるので複雑な味わいがある。ミルクの甘さとコクをしっかり味わえ、青カビのマイルドな刺激がいいアクセントになっている。生地は水分が少なめで少しパサパサした感じで口の中に入れるとパラリとほぐれて味が広がる。塩味はさほど強くない。
4.タレッジョ・オーガニック
イタリア 牛乳 ウォッシュイタリアを代表するウォッシュチーズがタレッジョだ。表面を塩水で洗われて作られるため外皮だけはウォッシュらしい特有の臭いを発するが剥いでしまえば意外なほど素直でクセはない。お餅のようなモチッとした食感が楽しく、ミルクらしいマイルドで優しい味わい。ウォッシュチーズ入門には最適なチーズの1つだと思う。
5.フォンティーナ・ヴァッレ・ダオスタ
イタリア 牛乳 セミハード・ハードフランスやスイスに国境を接するイタリアの北西部の渓谷でヴァッレ・ダオスタ種の牛のミルクから作られている。イタリアを代表する山のチーズで、イタリア風のチーズフォンデュに欠かせないチーズであるそうだ。弾力のある生地はまろやかで蕩けるような口あたり。ナッティーな香りとミルクの甘味をしっかり感じることができる。
6.クーロンヌ・ロッシュワーズ
フランス 山羊乳 シェーブルクーロンヌは王冠の意味。真ん中に穴が空いている。ドーナッツと書いた方が分かりやすいか。表面には灰がまぶされており王冠には見えない。若いうちはさわやかな酸味がありシェーブルらしいの味を満喫できる。熟成が進むと酸味がなくなり山羊乳の甘みが引き立ってくる。若い物と熟成された物を両方食べておきたい。
7.プティ・ブリ・ポワブル
フランス 牛乳 白カビブリのトッピングで鉄板なのが黒コショウだが最初から表皮に黒コショウをまぶしてくれているのがコレ。ダブルクリームタイプなので濃厚なミルクの味がする。少し厚めの白カビの香りとピリッとした黒コショウの刺激がアクセントになる。黒コショウは結構たくさんかけてもいいんだなぁと気付かせてくれる。ビールが欲しくなるかも。
著者: へた釣り