名前は聞いてはいたが希少すぎて出会えることはないだろうと思っていたら案外、簡単に出会えてしまう。チーズにはそんな不思議がある。これがワインだと希少性=お値段なので大枚をはたいてとなるのだが…フランスの4軒の農家でしか作られてないチーズが日本で食べるなんて♪
国際的にも評価が高い、日本を代表する青カビチーズの1つである、ニセコチーズ工房の二世古 空[ku:]がお手本にしているチーズとしてその名を知ったのがブルー・ド・ジェックス。ジュラ山脈で古くから作られており、16世紀の神聖ローマ皇帝カール5世がいたくお気に入りだったという逸話を残す。製造しているのは4軒の農家だけで希少なチーズと紹介されることが多く、フランスから遠く離れた日本ではそうそう出会える物ではないと思っていたら……フェルミエ渋谷店のチーズセットに入っていてビックリした。♪
せっかくのブルー・ド・ジェックスなので同じくジュラ地方でのみ作られる黄色いワインのヴァン・ジョーヌと合わせてみたかったのだが…お値段が予算の数倍したので断念。チーズと違ってワインは希少性=高価値なんだってことを思い知った。ワインにはコレクション性があって、チーズには消費期限があるってことなんだろう。
1.デリス・ド・ブルゴーニュ
フランス 牛乳 白カビ
ワインの産地として知られるブルゴーニュ地方で作られている白カビチーズ。表面はきれいな白カビで覆われており、クリームを足して作られる生地は柔らかくミルキーで口の中で蕩ける食感を楽しめる。今回のは完熟でトロトロ状態だった。クセ者感は控えめだがミルク&クリームの味がさらに濃縮されており万人受けする美味しさ。
2.ブッシュ・ド・ルッセ
フランス 山羊乳 白カビ・シェーブル
白カビに表面を覆われた山羊乳のチーズで白カビチーズの優しい味わいとシェーブルらしい爽やかさを両方楽しめる。部分によって熟成具合が違い、中心部の白い生地の部分は酸味と甘みが感じられ表皮に近い部分はドロリと蕩け白カビチーズらしい濃厚なミルクの甘みを感じる。表皮には少しキノコっぽい味と香りがある。
3.ガローチャ
スペイン 山羊乳 セミハード・ハード
灰色の厚いカビに守られた山羊乳らしい真っ白な生地は硬く、フォークで崩すとポロポロッと崩れる感じ。生地の粒の中にしっかりミルクの旨味が閉じ込められている。まずはバターのような濃厚な味わいを感じ、続いて山羊乳らしい酸味を感じる。スペインのスパークリングワインのカヴァとの相性がすごくよさそうなお味♪
4.ブルー・ド・ジェックス
フランス 牛乳 青カビ
黄みがかった生地にマーブル状にきれいに広がる青カビ。甘みと塩、苦みが絶妙なバランスとタイミングで口の中に訪れる青カビチーズはこうでなくっちゃという絶妙なバランスだ。香りも豊かだ。13世紀頃から作られてる歴史のあるチーズで日本を代表する青カビチーズである二世古 空[ku:]はこのチーズをお手本に作られている。
5.シメイ・クラシック
ベルギー 牛乳 ウォッシュ
トラビスト修道院で作られるシメイはビールで表面を洗った物を何種類か食べたことがあるが、クラシックはビールでではなく塩水で表面を洗って4週間熟成させた物。シメイ・ドレやシメイ・ア・ラ・ルージュと食べ比べることでビールがチーズの味にどう影響しているのかが分かる。クラシックはミルクの甘味が感じられる素直な味わい。
6.ベツマル・ヴァッシュ・レクリュ
フランス 牛乳 セミハード・ハード
ピレネー地方で古くから作られてきたチーズだったが一度生産が途絶えてしまったという過去を持つ。復活したのは1980年ごろのこと。3~4カ月熟成された生地は明るいクリーム色をしておりねっとりとミルキー。口に含むと無殺菌乳らしいミルクの香りが鼻に抜ける優しい味わいのチーズだが、後口にほんの少しだけ苦みを残す。
7.グラン・カルヴァ
フランス 牛乳 ウォッシュ
ノルマンディの三大チーズの1つ、リヴァロの中でもカルヴァドスで表皮を洗って熟成させた物をグラン・カルヴァと呼ぶようだ。リヴァロらしい黄色味がかった表皮は少し硬く、生地のもっちりふわっとした食感との対比が面白い。ウォシュらしく濃厚なミルクの味を楽しめる。熟成前だったのか香りは控えめだったように感じる。
著者: へた釣り