ブログを読んでいる人は全員気付いていたかもしれないが当人にはそういう自覚がなかった。11月11日のチーズの日のイベントに行った。正直に書くとあまり面白くなかった。人でいっぱいの会場の片隅で「俺ってマニアなのぉ~」と叫ぶわけにはいかないので小声でつぶやいた。
チーズフェスタ2016は、チーズにあまり馴染みがない人向けに日々の料理に健康にいいチーズをもっと使ってみてはと啓蒙するのが主旨であったように思う。だから、ステージで紹介されたり、会場で買えたりするチーズは、普段スーパーなどで見かける物ばかり。珍しいからこれを食べてみたい、買ってみたいという物は1つとして見当たらない。4種類のチーズを試食させてもらえたけれど、4つともまぁよくあるチーズだねという以上の感想は持ちようがなかった。チーズ道楽を始めて1年と少し。マニアという言葉にはエロいニュアンスがあるのであまり好きではないから言い換える。立派なチーズオタクになってるね、俺www
食べ比べをして一番面白いのは青カビチーズだ。今週はフランスを代表する青カビのフルム・ダンベールを甘口ワインに浸けこみ熟成させた物と日本を代表する二世古 空[ku:]の食べ比べ。甘さと塩味、カビの刺激の組み立て方がまるで違っていて面白かった。甘口のワインは好きじゃないが、チーズとの組み合わせならありかも。
1.ピアーヴェ・メッツァーノ
イタリア 牛乳 セミハード・ハード高地で作られている伝統的な山のチーズでほとんどクセらしいクセがないまろやかで優しい味わい。61日以上180日未満の日数熟成させた物をメッツァーノと呼ぶようだ。メッツァーノはほどよい柔らかさで歯が吸い込まれていく中に少しだけシャリシャリと結晶化した部分が混じり、その部分はミルクの濃厚な風味を感じられる。
2.クロタン・ド・シャヴィニョル・ドゥミ・セックル
フランス 山羊乳 シェーブルクロタンはあまりうれしくないが馬糞のこと。山羊乳らしい白い生地はボロボロと崩れる感じで酸味があり爽やかな味わい。栗のようなほっくりした生地を口にとどめて楽しんでいると、濃厚なミルクの香りと味をしっかり感じることができる。シャヴィニョル村とその周辺で製造された物はクロタン・ド・シャヴィニョルを名乗れるそうだ。
3.トーマ・シラヌカ
日本(北海道) 牛乳 セミハード・ハードイタリアのトーマ・ピエモンテーゼに感銘を受けて北海道の白糠で作られているのがトーマ・シラヌカだ。もっちりと柔らかな食感で優しいミルクの味を感じることができる。個性という点では少し物足りなさを感じるが、クセがない分いろんな食材に合わせて楽しむことができる。北海道の野菜との組み合わせがオススメらしい。
4.ヴィニョロン・マール・ド・ミュスカ
フランス 牛乳 ウォッシュウォシュチーズはその表皮が臭ければ臭いほどいい…とは思わないが、臭い方がなんとなく期待感が高まる。アルザスのマール・ド・ミュスカという蒸留酒で洗われ熟成されたこのチーズの湿りを帯びたオレンジ色の表皮の香りは強烈だった。皮を剥げば鼻に抜ける洋酒のコクのある香りともっちり生地のミルキーさを楽しめる。
5.カマンベール・パストリゼ
フランス 牛乳 白カビ元祖カマンベール(ド・ノルマンディ)は無殺菌乳で作られるため風味も味わいも強いが、殺菌乳で作られるカマンベールはマイルドでクリーミィな味わいになる。白カビチーズを食べ慣れてくるとインパクト不足で物足りないと感じるが、マニアでもオタクでもない人にとってはこちらの方が馴染みのあるカマンベールだったりする。
6.二世古 空[ku:]
日本(北海道) 牛乳 青カビフランスのブルー・ド・ジェックスをお手本に作られており、黄色味がかった生地、外皮の感じ、青カビの入り方までよく似ている。まず驚くのが生地の持つ穏やかで優しい甘み。いつまでも口の中に留めおきたくなる甘みだ。塩味はほどよく、青カビの刺激はそれほど強くなく食べやすい。日本人の好みに合わせて作られている。
7.フルム・ダンベール・ヴァンモワルー・ロドルフ
フランス 牛乳 青カビロックフォールと並ぶフランスの人気ブルーチーズをロドルフ・ル・ムニエ氏という熟成士が特殊な方法で熟成された物。秘伝のというからにはその方法はよく分からないが2種類の甘口ワインに漬けこんで熟成されており、口に含むとじゅわりとワインがしみ出してくる。少し遅れて青カビの刺激とミルクの甘さがやってくる。
著者: へた釣り